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コラム・週刊Blessed Life 274
万策尽きた中国の経済、巨大債務の中に沈む?

新海 一朗

 中国経済の危機はその規模にあります。14億人の経済統計を集計するということは、全ての経済指標において、巨大な数値がたたき出されることになります。
 とりわけ、中国がWTO(世界貿易機関)に加盟した200112月以降、中国は世界経済の中で安価な商品の数々を各国に輸出して輸出大国になり、莫大な収益を手にするようになりました。

 2000年代最初の10年間は、投資家たちは「中国の時代」と考え、またそれを商機と捉え、世界の投資マネーは一気に中国へと向かいました。
 まさに投資家たちが考えたとおりに儲けさせてくれるありがたい中国として、世界の経済紙面は中国一辺倒となり、中国称賛の嵐が吹きました。

 中国国内においては、不動産事業が「カネ転がし」の側面を持っていたので、金利に関係なく、カネを貸せば何倍にも膨れ上がって戻ってきました。銀行やノンバンク、ファンドなどが不動産投機やデベロッパーなどへ多額のカネを流す時代となったのです。
 しかしこれがどのくらい焦げ付くのかは「全く分からなかった」のです。

 日本のバブル崩壊の時も当初は損害額が確定できず、せいぜいGDP(国内総生産)の120%前後の400兆円程度といわれていましたが、実際には220%を超えていました。そして完済した時の債務処理費用は債務実額の3倍の12001300兆円に達する程になっていました(日銀推定)。
 いい時はいいのですが、不動産ビジネスの怖さは、そういうところにあります。

 中国経済は2010年代に入るとやや減速しますが、それでも中国の強気はやみません。そんな中で、中国経済の危うさを見破っていた人物がいます。
 中国の朱鎔基元首相の息子であり経済系テクノクラートの超エリートでもある朱雲来氏です。

 彼は事態を冷静に見ていました。彼は2018年に中金公司=China International Capital Corporation LimitedCICC)の非公開講演の席で、「中国の2017年末時点で債務合算値が既に600兆元(1京円)を越えていた」と語りました。何と、中国の債務の総合計は1京円(10,000兆円)を超えていると言明したのです。

 その数字は2017年時点でのものですが、彼の言葉は大げさでもなく、そのとおりであったと見なければなりません。
 現在の中国の政府と民間の債務総額は、1.4京円から1.6京円であることが経済専門家の計算で算出されています。とりわけ、地方政府の財政の負債は目も当てられないひどさです。

 中国の債務総額のデータは、ブルームバーグやIMF(国際通貨基金)などのデータを基にして出されたものですが、とにかく桁外れの債務国家、借金まみれの中国という実態が、種々の経済データからも明らかにされているのです。
 言い換えれば、借金で商売をして儲け、さらに借金を重ねて商売しているうちに、返しきれない借金を背負っていたというような話です。

 ハコモノづくりによって、公共事業、投資事業が順調に進んでいるように見えても、家も鉄道も鉄鋼も、全てが造り過ぎで、金を捨てたと同じような状態になっています。

 加えて、中国の広域経済圏構想「一帯一路」では、不良債権が急増しています。過去3年間に焦げ付きが明らかになった債権は780億ドル(約10兆円)を超えました。
 一帯一路は途上国に対する投資事業ですが、これをしっかりと返済してくれる国などありません。
 経済の行き詰まりが共産党政権に襲いかかっているのです。