2023.08.02 05:00
シリーズ中級講座 2
統一思想入門講座
「統一思想とは何か」<2>
世界家庭誌で2021年11月号から2022年12月号までの期間に掲載された「中級講座シリーズ」の内容を、「シリーズ中級講座」のタイトルで毎日朝5時にお届けすることになりました。信仰生活の向上、毎日のみ言学習にお役立てください。
統一思想研究院
木南章良・首席研究員
序文
科学技術は日々進化し、人々に快適で便利な暮らしがもたらされています。その一方で、恒久的な世界平和を実現するには、多くの課題があることも事実です。
世界中で貧富の格差が広がり、飢餓人口は約8億人と言われ、世界人口の9分の1が栄養不良に陥っています。
米国を中心とした民主主義にほころびが見え、それに対抗する強権主義が台頭する中、国連は各国の利己主義によってうまく機能せず、人種や民族、宗教間の葛藤が絶え間なく続いています。地球温暖化に伴う環境問題も、ますます深刻になっています。
また、過度の個人主義によって、家族や地域社会に問題が生じています。個人が尊重されるのは大切なことですが、その背後で、言いようもない孤独の中を生きざるをえない人がいることも忘れてはなりません。
そのような中、文鮮明総裁(真のお父様)が解き明かされた「統一思想」が希望の光として注目を浴び始めています。ここでは、そのポイントについて説明します。
(一)神主義を貫く思想
啓示によって与えられた父母なる神の愛と真理
真のお父様は次のように語られています。
「私は、神様の召命を受け、神様がかつて人類歴史の背後に隠しておかれた天宙の大原理を発掘するに至りました。それは人間が歴史にわたって渇望してきた大真理であり、すべての人間が真の愛に回帰し、真の世界平和を具現できる大原則でした」(『平和経』107ページ)
統一思想は、天の父母様(神様)が「人類歴史の背後に隠しておかれた天宙の大原理」であり、真のお父様を通して啓示されたものです。
また、“父母なる神の愛と真理を核心とする思想”として、次のように「神主義」が貫かれています。
第一に、神は生きていらっしゃり、人類の親であると説きます。人間は全て「神の子」なのです。イエス・キリストだけが神の子なのではないということです。また、神は「父なる神」であるのみではなく、「母なる神」でもあります。つまり、唯一の「父母なる神」なのです。
第二に、神の本質が「真の愛」であることを証しします。その愛は人間と万物の創造に具現化されました。
そして、神と人間との関係は親子であり、人間を信頼し、その成長を願って「責任分担」を与えられました。人類歴史を見たときに、神が全ての摂理を引っ張ってこられたのではなく、人間自身も大きな役割を果たしてきたということです。
第三に、神は無形であるがゆえに、実体として真の父母を地上に立てられたと説明します。人間は、真の父母と一体理想を完成して、真の愛、真の生命、真の血統を取り戻すことで、永遠に救われるのです。
前述した内容を、順を追って説明します。
(1)神と人間との関係
まず、天地創造がいかにしてなされたのか二つの説を紹介します。これは、神と人間との関係を知るうえで欠かすことができない内容です。
①心情動機説
統一思想では、神の最も重要な属性を「心情」と見ます。心情とは、「愛することを通して喜ぼうとする情的衝動」です。この心情が動機となり、神は愛の対象として人間と万物を創造されました。
愛には必ず対象が必要です。「神頼み」と言われるように、一般的には、「人間にとって神が必要である」と考えますが、神も人間を必要としているのです。私たちが子女を欲するように、神は、愛の対象として人間を求めています。
➁相似の創造説
「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」(創一・27)
神は被造物をご自身の姿に似せて創造されました。人間をはじめ、全ての被造物には、神の性質が受け継がれているのです。