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43とも倶楽部誕生物語 42
愛するが故に厳しく育てる

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 ユダヤ人の成人式は13歳です。
 現代日本の成人年齢は20歳から18歳に下がりましたが、昔の武士は13歳から16歳ぐらいの間に元服(男子が成人になったことを社会的に承認し祝う通過儀礼の儀式)を行いました。商家に奉公する丁稚(でっち)の年もその頃でした

 ユダヤ人は、世の中の職業は、労働収入を得る職業と、権利収入を得る職業の二つしかないと考えます。
 労働収入とは、「1回の労力に対して1回のリターンを得る職業」であり、権利収入とは、「1回の労力に対して複数回のリターンを得る職業」をいいます。
 そして1516歳になったら権利収入で全ての生活費を賄える「ファイナンシャルフリー」になりなさいと教えます。日本人とは労働感覚が全く違います。

 日本人は「傍(はた)を楽にする」ことが働くことであり、仕事を生きがいと人格陶冶(とうや)の手段と考えます。
 国を失うことも、世界を放浪することもなかった民族性の故だからかもしれません。日本人は技術を磨き、経験を積むことに重きを置きます。

 ユダヤ人は技術者を雇い、ビジネスモデルを作ってその権利収入を得ようとします。そのため労働収入は、好きなこと、たとえ無収入であったとしてもやりたいと思うことだけをしなさいといいます。

 いずれにしても収益を得るためには、相手を喜ばせ、利益となることをしなければなりません。しかもその答えは教えてもらうのではなく、自ら見つけなくてはならないのです。

 ユダヤ式家庭教育の根本は「わが子を無条件で愛すること」です。
 一見矛盾するようですが、愛するが故に厳しく育てるという姿勢は、43ともにも通じます。

 愛の心で全てを受容し、良いところを見つけて褒めて応援する。答えを教えるのではなく、自ら気付くまでじっと忍耐して待ち続ける、それが43ともです。

参考:『ユダヤ大富豪に伝わる最高の家庭教育』(天堤太郎・著、青春出版社)