43とも倶楽部誕生物語 39
GAと43ともの共通点

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 前回の続きです。

 ギャンブル症者には共通点があります。
 それが、見ザル、聞かザル、言わザルの「三ザル状態」です。
 自分の置かれた悲惨な状態や家族の苦しみを見ない、他人の忠告や助言を聞かない、自分の気持ちを他人に言わないという孤独地獄に陥っているのです。

 そしてもう一つ「三だけ主義」があります。
 今だけ良ければいい、将来など知ったことか。自分だけ良ければいい、女房や子供、親兄弟など糞(くそ)くらえ。金だけあればいい、親子の愛情、友情などどうでもよいという考えに陥ります。

 このような人々が自助グループ「ギャンブラーズ・アノニマス(GA)」に参加すると、今までの考えにひびが入り、崩れていきます。

 ここでは自分の本音を話しても非難されず、攻撃されず、説教もされません。
 今まで自分を守るためにうそを言い続けてきたのに、ここではうそを言う必要がありません。
 恐怖心や怒り、傲慢(ごうまん)な思いも消え、つつましい生活を快適に感じ、小さな幸せをかみしめるようになります。

 自分に付いた悪いあかが取れて本来の人間性が現れてきます。
 そして「ありがとう」「お世話かけるね」「ごめんね」という言葉が自然に口をついて出てくるようになります。

 ただし、このGAワクチンは1週間しか効果がありません。
 参加しなくなると、またギャンブル欲が頭をもたげて地獄に落ちていきます。一生続けなければなりません。
 生涯学習と同じです。習慣になればよいのです。

 また、これを続けることによってギャンブル地獄で苦しむ人々を救う道を広げることにもなります。なんでも話せて自分の居場所ができるという意味では、43とも倶楽部とも共通します。

 こういうコミュニケーションは自然治癒力も引き出し、病気治療にも役立つということです

(続く)