https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4114

コラム・週刊Blessed Life 264
バイデン政権、危うし! 米国の債務上限引き上げ問題

新海 一朗

 現在、米国のバイデン政権は深刻な事態に直面しています。
 米国の国家財政は、これまで膨大な国債によって運営されてきています。国債すなわち国家が発行する借入金としての証券は国家の信用に支えられて発行されますが、これがあまりにも膨大な額に上ると、返済できなくなるのではないかといういわゆる「デフォルト(返済不能、債務不履行)」を恐れて、世界の投資家や投資国は米国の国債を売り浴びせます。

 これによって米国債が暴落し、最悪の場合、米国の国家財政破綻という事態を招くかもしれません。
 「米国がまさか」という信じられない事態に発展する恐れがないとは言い切れないのです。現在の米国はそのような瀬戸際に立っています。

 20年前の米国は、債務の上限を73800億ドルとしていましたが、現在は、314000億ドルに達しており、4倍に膨らんでいます。驚異的な財政赤字に陥っているわけです。
 さらに、この上限額を引き上げなければ(新たに国債の発行を増加しなければ)、財政運営ができないところにまで来ています。

 米国の債務上限の引き上げを巡って512日に予定されていたバイデン大統領と野党側(共和党)との協議は、来週に延期されることになりました。
 バイデン大統領は、協議の成り行き次第では米国にとどまり、来週開幕するG7広島サミットで日本を訪問しない可能性もあるとしています。

 米国では、財政規律を守るため、政府が国債などを発行して借金できる上限が決められています。この上限を引き上げるためには議会の承認が必要になります。
 議会が承認しなければ国債の元本の償還や利払いができなくなりデフォルトに陥ります。

 米国の国債は信頼性が高い安全な資産として知られていて、その価格や利回りの動向は世界の金融市場で指標となっているため、世界中の投資家や外国政府が保有し、重要な資産運用先となっています。
 しかし、このような米国の国債が投資家などの間で仮にデフォルトが意識されると、世界の金融市場に大きな混乱を引き起こす恐れがあります。

 銀行破綻が相次ぎ、金融不安がくすぶる米国の現在の状況がマスコミで騒がれる中で、国債を保有する米国国内の銀行の経営はさらに悪化するなど深刻な事態を招くことになります。
 米国債を大量に買っている外国(特に、日本、中国など)も危険を察知すれば、手放しにかかるでしょう。

 イエレン米財務長官は「61日にも債務不履行の恐れ」との見通しを示しました。
 この5月に、民主党(上限引き上げ)と共和党(上限引き上げ反対)の議会でのせめぎ合いの結果いかんによっては、バイデン政権は非常に危うい状況に陥るでしょう。

 現在の米国議会は全てが異常です。外交も内政も真っ向から対立していますので、この「債務上限引き上げ問題」も、共和党と民主党が折り合いを付ける可能性はかなり低いと見てよいでしょう。
 五里霧中の米国。米国は一体どうなってしまうのでしょうか。