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ダーウィニズムを超えて 6

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「ダーウィニズムを超えて」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 生物学にとどまらず、社会問題、政治問題などさまざまな分野に大きな影響を与えてきた進化論。現代の自然科学も、神の創造や目的論を排除することによって混迷を深めています。
 そんな科学時代に新しい神観を提示し、科学の統一を目指します。

統一思想研究院 小山田秀生・監修/大谷明史・著

(光言社・刊『ダーウィニズムを超えて科学の統一をめざして』〈2018520日初版発行〉より)

第一章 進化論を超えて
新創造論の提唱

(三)連続的か、瞬間的か、段階的か

2)疑わしくなった漸進的進化
 ダーウィンは微小な変異が連続的に起こり、自然選択によって生物は徐々に進化したと考えた。そうであれば、種から種への進化の足跡を示す連続的な化石が発見されなくてはならない。しかし、一つの種から他の種へと徐々に進化したことを示す中間の化石は見つからない。これは「ミッシング・リンク」(失われた環)と呼ばれている。ダーウィンは、やがて中間の化石が見つかるであろうと言ったが、それから約160年たった今でも、ミッシング・リンクは埋められていない。

 また、進化の過程にある生物は生存に適してしていないのではないかという問題がある。たとえば、コウモリはネズミやモグラのような動物から進化したと考えられているが、進化の過程では、飛べない不完全な翼、走れない足というような状態があったと考えられるのであり、そのような状態は、生物にとっては生存に不利でしかなかったはずである。

 化石の事実から見るとき、生物はある一定の長い期間、ほとんど変化せず、ある時点に至ると突然、飛躍的に新しい生物が登場するというプロセスを繰り返してきたことが分かっている。そこで漸進的な進化を否定する理論が提示されるようになった。

 1972年、アメリカの古生物学者のスティーヴン・グールド(Stephen J. Gould, 19412002)とニールス・エルドリッジ(Niles Eldredge)は「断続平衡説」を発表した。種は通常、何も変化しない長い平衡期を経た後、突如として、その平衡を断つような形で進化するというのである。そして今日では、漸進的な進化より断続的な進化の方が定説となっている。

3)カンブリア紀の爆発
 地球上に初めて大型の生物が誕生したのは65000万年前であった。南オーストラリアのエディアカラ丘陵で発見された「エディアカラ生物群」(Ediacaran fauna)である。それらは外骨格のない、ふわふわした軟らかい体であり、移動能力のない生物であった。

 54000万年前から5億年前のカンブリア紀には三葉虫、マキガイ、サンゴ、クモヒトデなどの海洋無脊椎動物が大量に現れた。およそ54000万年前、海中で無脊椎動物が爆発的に増加し始めたが、これは「カンブリア紀の爆発」と呼ばれている。そして最も奇妙な形をした生物群がカナダ西部のロッキー山中で発見された。52500年前の「バージェス動物群」(Burgess Shale)である。外骨格のある動物で、その中には現生のどの生物ともかけ離れたものもあった。

 この分野において第一線で活躍しているケンブリッジ大学のサイモン・モリス(Simon C. Morris)は、カンブリア紀の爆発に関して、「何かものすごい進化のメカニズムがあったに違いない(*16)」と言う。しかし、それがなぜ起きたのか、進化論の立場からは不明のままである。

 カンブリア紀の生物は多様性において豊かであり、適応において巧妙であり、美において素晴らしかった。そのとき生命の形として可能なすべての基本構造(ボディプラン)が生まれ、それがその後のあらゆる動物の基本設計となったといわれている。しかしなぜこのような爆発的な展開が起きたかは大きな謎である。


*16 サイモン・モリス、松井孝典監訳『カンブリア紀の怪物たち』講談社、1997年、216

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 次回は、「中立突然変異」をお届けします。


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