https://www.kogensha.jp/shop/detail.php?id=4145

中和新聞セレクト Vol.7
家庭力アップ講座 12

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第7弾は「家庭力アップ講座」(多田聰夫氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』20137月~20163月に全19回で配信されたシリーズです。

12回 共感的聞き方

(中和新聞 2015年1月13日 通巻728号より)

[第3章]授受作用について

<3> 愛情の伝え方(聞き方、話し方)

共感的聞き方

子供の事情を理解してから子供に接する
 親にとって、子供に様々な問題があったとしても、子供を愛していることに違いはありません。だからといって親の愛情が子供に届いているかというと、そうとは限りません。親の立場から要求ばかりしていることが意外と多く、それでは親の愛情が子供に届かないというのです。親の愛情が伝わる話の聞き方、話し方を学んでみたいと思います。今回は「共感的聞き方」です。

 親の対応を見てみると、「良かったら褒める、悪かったら叱る」ことが多いのではないでしょうか。良かったら褒めることに問題はありませんが、悪かったとき叱るということについて考えてみます。

 例えば「犬に餌を与える」という役割を担当している子供が、犬に3日間餌を与えず、親が仕方なく犬に餌を与えていたとします。犬に餌を与える責任を果たさなかった子供は、親から叱られて当然ですが、そのとき親は自分の心の基準で叱っている場合が多いのです。親自身が問題を抱えていて心に余裕がなく、感情的になり、つい叱ってしまうという場合です。

 犬に餌を与えることは子供の責任ですが、何か事情があって餌をやれなかったということもあります。例えば、いじめられていたり、壁にぶつかっていたりした場合、犬に餌を与えないということが「子供からのメッセージ」と理解することもできます。

 親の価値基準で子供を判断しますが、子供には子供の観点があります。子供の事情を理解してから接する必要があるのです。子供が問題を抱えているときにしてはいけないこととして、「命令、脅迫、説教、提案、非難、称賛、同情、侮辱、分析」などがあります。不登校になった時、「立派な人間になれないよ」と言って無理に学校に行かせようとすることもそうです。褒めることや激励、質問も避けたほうがよいでしょう。

「親から理解されていない」と感じる子供たち
 名古屋の、いじめによる自殺の例を紹介します。自殺した子供の遺書には、子供の悩みを解決しようと親が子供にした10項目の質問に対する回答が書かれていました。その親は、子供が直接質問に答えなかったことに悩みました。

 子供にとって、親から質問を受けるのが苦痛になることがあります。その子には、それに答える心の余裕がなかったのでしょう。子供の答えたくない気持ちを理解し、共感することが必要ではないでしょうか。親が良き相談相手になれば自殺を防ぐこともできるでしょう。

 子供の78割が、「親は分かってくれない」と感じています。親は何とか子供に答えを教えたいと思うのですが、「教える」ことは親の心を満たすだけになりがちです。「共感的に子供の気持ちを理解してあげる」ことで親の愛情が伝わり、問題解決の方法が見えてくるのです。

「黙って子供の話を聞く」ことが愛情に
 ここで共感的聞き方の例を紹介します。(『10代の子どもの心のコーチング』より)

(親)「私には高校生の息子が一人います。それまでの私は、息子に対し、話すことと言えば指示・命令・説教ばかりで…。この子はどうしてこうなんだろうと、息子を責めることばかりでした」「ただ黙っているだけだから簡単だろうと思っていましたが、『黙る』というのはなんて難しいことか…」「そして黙り始めて1週間。黙って話を聞く私に対して、『調子悪いの?』が息子の反応でした。それまで、私の話を、聞いていた彼に、自分が話すチャンスがめぐってきたのです。そして、今までの不満もふきだしました」

(子)456年は学校がつらかった。特に5年のときは学校でもガミガミ、家でもガミガミ。はっきりいって、自分の居場所がなかった。家のベランダから飛び降りようと思ったけど、やめた」「母ちゃんに自分の意見を言うと3倍になって返ってくる。だから言う気もなくなるし、こわい」

(親)「私は今までのことを心から詫び、息子が死なずによかったと思うと同時に、自分の不安から、息子に無駄な言葉を浴びせ、傷つけていたことに気がつきました」

(子)「でも、今、おれは気にしてないよ。56年の担任から教えてもらったこともあるし、今は楽しいし。母ちゃんのアドバイスも、役に立ったこともあるから」

(親)「息子のこの言葉に本当に救われました。今も、つらかった過去のことを少しずつ話してくれています。私の黙って聞く習慣も身につき始めています」

 以上のように、子供が自分の不安を打ち消す方向に向かうまで黙って話を聞くようにします。「何とかしてやりたい」と思っても、子供が感じていることが分からないと「何とかしてあげる」ことはできません。特に思春期の子供は、話を聞く親の態度に本気度を求めるようになります。

 子供の話を黙って聞いてあげるのは素晴らしい愛情です。親にとっては、口を出したくなってしまう自分との闘いでもあります。どんな相談にも乗ってあげられる親になることが大切です。

 心が育つというのは、聞いて共感してあげることによって可能になるのです。「教える」よりも「育つ」環境をつくることです。そのために聞いてあげるのです。「不登校、学校に行けないのは苦しいよな。つらいよな」と共感的に理解してあげるのです。

 共感的に理解してあげると、子供は喜び、親の愛情を感じ、心が正常になっていきます。子供は、両親に心配を掛けていることに気づき、自ら「学校に行こう」と思うようになるのです。

 真のお父様のみ言を紹介します。「絶対愛は、相対を絶対視する所で成立するのです」。このみ言は、子供を心から尊敬し、相手の気持ちに共感していくことに通じます。

---

 次回は、「積極的聞き方」をお届けします。

◆ ◆ ◆

※『中和新聞』のご購読は「ネットワン会員」「ファミリー会員」(光言社)にご登録いただくことで可能です。

詳細を見る