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中和新聞セレクト Vol.7
家庭力アップ講座 11

 毎週2回(火、金)、さまざまなコンテンツを配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
 第7弾は「家庭力アップ講座」(多田聰夫氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
 同コンテンツは『中和新聞』20137月~20163月に全19回で配信されたシリーズです。

11回 あなただけの時間をもつ

(中和新聞 2014年12月2日 通巻719号より)

[第3章]授受作用について

(2)あなただけの時間をもつ

 子供たちに絶対的に必要なものは「親の個人的な関心」です。子供が何人いたとしても、親は子供一人一人に対して個人的な関心をもつことが大切です。子供は一人一人特別な存在で、また真実な存在です。私の子供として生まれてきたわけですから、生まれたそのままの姿を真実な存在として受け入れましょう。そして、一人一人の個性を愛するようにしましょう。

 おっとりとした性格の子供もいれば、何事もてきぱきとこなしていく子供もいます。また静かな子供や話し好きな子供など、みな個性豊かな子供たちです。

 ところが、「親から特別な存在だと認識されていない」と子供たち自身が感じているところがあれば問題です。そのような場合、親の愛情が子供に届いていないのです。親は子供を愛しているわけですが、その愛情が子供に届いているかどうかまで確認していないことが多いのです。

子供と一対一の時間をもつ
 子供一人一人に対して関心をもつことで、親の愛情が子供に届きます。それは子供たちに愛を与え、彼らの前向きな経験を分かち合うことにつながりますが、時間がたつにつれ、健全で信じ合える関係をつくるための投資にもなるのです。

 ここで両親が一人一人の子供に対して関心をもつことの実践例を紹介します。一人一人に対して個別に「土曜デート」を行い、それが家族の伝統の一つになっているというのです。デートの日は、あらかじめ子供と一緒に計画しておいたことを行います。例えば、長男とのデートの日にはレストランに行き、彼がいちばん好きなポテトを食べ、二男の場合には、スーパーマーケットに行って、その子がいちばん好きな三色のあめの棒を買って、ハンバーガーショップに行くといった具合です。

 その土曜日について、それぞれの子供たちと一緒に過ごすデートの時間としてあらかじめ空けておき、子供たちにカレンダーを見せて、どの日が誰とのデートの日なのかを知らせ、それぞれのデートの主人公たちと一緒に、その日に何をするか計画を立てるというのです。デート時間内の意思決定も子供たちの役割となります。

 子供たちは、自分が愛されることが分かれば、兄弟が親から愛されていることを受け入れることができます。兄弟げんかが絶えない理由は、子供一人一人との間に、親との特別な愛情が結ばれていないからです。子供たちと一対一の時間をしっかりともつようにすると、兄弟げんかは次第に収まっていきます。

 ある家庭では、子供を愛する日をカレンダーに印をつけて1か月実践したそうです。すると子供たちが、「母親が家族から愛される日」が決まっていないことに気付き、その日を決めようということになりました。また「父親が家族から愛される日」を決めることにもなりました。父母から愛される日が明確になっていると、人を受け入れる余裕が子供たちの心に生まれます。

子供の心を酌み取って話を聞く
 子供たちが「自立の心、思いやりの心、感謝の心をもつ人間」に育つためには、親は、子供自身の責任において解決できるような環境を整える必要があります。この環境というのは、子供の気持ちを、まず親が「共感」してあげることです。

 「子供がどんな気持ちでいるのか、何を考えているのか」をよく聞くことが、共感の第一歩です。親が子供の気持ちに共感してあげることで、子供は自分の責任で問題を解決していくようになります。

 親が子供の気持ちに共感していくためには、話の聞き方に工夫が必要です。共感的聞き方とは次のような方法です。①子供が話したことを親がそのまま繰り返す、②その話を本人に理解できるように言い換えてみる、③子供の考えていることを酌み取ってあげる――、以上の三段階があります。子供の心を酌み取って聞く方法が、最も子供に愛情が届く聞き方です。

 一つの例題を紹介しましょう。22歳の娘さんをもつ母親の話です。あるとき、親子で夕食をしていると、珍しく娘のほうから母親に会社での出来事をいろいろ話してきたそうです。

 母親はしばらく娘の話を聞いていたのですが、いろいろ気づくことがあり、アドバイスしたのです。その途端、娘は話すのをやめ、「ただお母さんに聞いてほしかっただけだから」と寂しそうな顔をして言いました。母親は「しまった」と思い、「あの時、最後まで娘の話をただ聞いていればよかった」と反省したそうです。

 この話を聞いて、「子供の気持ちに共感していくことが、親の愛が子供に届くことなのだ」と思いました。共感的に話を聞くことは、親と子供の心が一つになるために大切なことなのです。

自分で解決する能力が身につく
 ここで「共感的に理解する」ことの効果を紹介します。

 一番目の効果として、親の思いやりが子供に伝わり、愛情を感じ、心が満たされるようになります。二番目に、心が正常に働き、自立心が育ち、思いやりの心が芽生えるようになるのです。三番目に、自己を見つめる心のゆとりが生まれるようになります。

 四番目に、親に対する信頼感が一段と深まり、自分の抱えている問題に子供が自ら気づくようになります。五番目に、自分で解決しようとする意欲が起きるようになります。そして六番目に、自分で解決するための能力が身につくようになります。

 皆さんも、共感的に話を聞く練習をしてみてください。

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 次回は、「共感的聞き方」をお届けします。

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