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43とも倶楽部誕生物語 28
東成瀬村のすごい授業

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 最後に東成瀬小学校の授業風景をご紹介します。

 子供たちは45分間の授業中、先生が板書したものを速くきれいにノートに書いていきます。
 その際、力を入れているのが、鉛筆の持ち方と姿勢です。速くきれいに書くためにはこれができていないとうまくいきません。
 基礎をしっかり教えています。

 先生が子供たちに質問すると、ほとんどの子が元気に手を挙げます。しかしその手はグー(同じ意見)だったり、パー(意見)だったり、チョキ(別の考え)だったり、さまざまです


▲『「学力日本一!」秋田県東成瀬村の
すごい学習法』(主婦の友社)より

 自信のない子は親指と人差し指を立てます。この「ハンドサイン」を決めることによって、誰もが臆することなく手を挙げることができ、疎外感を感じなくなります。
 そして答えが違っていたとしても誰も笑う人がいません。教室の中は安心と信頼感で満たされています。

 先生は、すぐには答えを出しません。さまざまな意見を出させて、それをみんなで検討させます。
 その時、自分と違う意見があったとしても、なぜそう思ったのかを聞いて話し合います。

 そこで思ってもみない発見や見方が生まれます。そのプロセスに価値があるのです。
 「会読」と同じ雰囲気です。先生が教えるのではなく、みんなで答えを探す、まさに「探求型授業」です。

 分からないことは恥ずかしいことではないということです。
 子供たちの「分からない」に先生はとことん付き合って「学ぶことは喜び」「できることは楽しい」を味わわせてあげようとしています。

 この小学校のスローガンは「勇んで登校、次々と発表、満足して下校」です。
 小学校の6年間で学ぶ喜びを習慣にできたら、彼らの人生は洋々たるものでしょう。

 ちなみにこの学校には、学級崩壊も不登校もありません。これは奇跡と言ってもよいでしょう。(続く)