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青少年事情と教育を考える 224
こども家庭庁と少子化対策

ナビゲーター:中田 孝誠

 今月、「こども家庭庁」がスタートしました。「子供の最善の利益を守る」という基本的考え方の元、こども政策の司令塔として位置付けられています。

 具体的には次のような施策を担っています。
 妊娠から出産・子育て期の一貫した支援、保育園や認定こども園の運営、保育内容の策定、児童手当、児童虐待対策、いじめ、子供の貧困、自殺対策、ヤングケアラー支援、そして少子化対策などです。

 これまで文部科学省や厚生労働省、内閣府などの省庁が担当してきた幅広い業務を担うことになります。ただ、幼稚園と保育園の幼保一元化がなされなかったことなど、いくつか課題があると指摘されています。

 また、現在の最大の課題である少子化問題については、こども家庭庁に期待する声がある一方、それを担うのは難しいといった声もあります。

 この点について、こども家庭庁と共に今月から施行された「こども基本法」を見ると、次のように記されています。この法律は、こども家庭庁が進める施策の基本になるものです。

 同法の中で、こども施策の基本理念として「すべてのこどもは、大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること」と書かれています。いわば、生まれてきた子供たち一人一人を大切にするという考え方です。

 さらに同法では、「子育ては家庭を基本としながら、そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが難しいこどもも、家庭と同様の環境が確保されること」「家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること」と定めています。これらは、家庭、親に焦点を当てた考え方である。

 日本の少子化の最大の要因は、若者の未婚化と晩婚化、そして結婚した夫婦が出産する子供の数の減少にあります。これまで経済的支援策は打ち出されてきましたが、それだけでは十分な成果を上げることができていません。

 「家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくる」施策、言い換えれば家庭の視点に立つ施策がどこまで進められるか。こども家庭庁が果たす役割は、この点が最も重要だと考えられます。