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勝共思想入門 32

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)

光言社・刊

第九章 価値あるものとは何か

 価値という言葉は、一般的にどのように使われているのかを、まず確認しておきましょう。辞典を引いてみますと「対象が主観の欲望を満たす性質」と記されています。ある人にとってなくてはならないもの、例えば、生き方を教えてくれた人や書物、大切に育てている花や動物、毎日の生活にとって必要な様々な用品等々が価値あるものですし、そのものがもっている性質を指して価値といっていることが分かります。これが一般的な価値観です。

一 マルクスの価値論の特徴

 しかし、マルクスの「価値論」、つまり資本論の基礎になっているものですが、それは「商品」に限定して価値、ものの値打ちを考えており、説明しています。値段=価格のついているもの、それが商品であり、その値段をつけるもとになったところの価値について研究し、有名な「労働価値説」、「剰余価値論」といわれる資本論の二大柱となる理論を立てたのです。

 しかし、価値についての一般的な解釈は、人間の欲望を満たすことのできる性質のことをいうわけですが、人間の欲望には、真・美・善というような無形で精神的なものと、衣・食・住・性など、有形な物質的なものという二つのものとがあります。したがって、価値もそれに相応して精神的な価値と物質的な価値の二つに分けられるのです。

 マルクスの価値論の場合、商品に限定されており、それも「まず食い、飲み、着、住まなければならない。それからのち、政治、宗教、芸術……」という立場ですのでどうしても、真・美・善の価値を追求する方面が軽視され、ときには無視されてしまう傾向があるということです。資本主義社会のもたらす非人間化の現象に憤りを感じながら出発したにもかかわらず、かえって彼の思想自体が、最も人間的な要素を無視、軽視する傾向に流れやすくなっているといえます。

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 次回は、「労働価値説/商品とは交換されるもの」をお届けします。

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