2023.03.30 22:00
うまくいく夫婦仲の法則 8
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。
松本 雄司・著
第一章 家族についてもう一度考え直そう
9 豊かさの時代の子供の反乱
さて、話を進めますが、子供の問題が深刻です。文部科学省も教育改革等の努力をし、厚生労働省は結婚や家庭問題に心を砕き、警察庁でも少年の補導に力を入れてきました。
公的機関や民間ではカウンセラーの数を増やして、必死の努力をしています。また、関係者による教育に関する本もたくさん出ていますが、全然追いつかない。子供のすさみ方はひどくなる一方です。その流れをおしとどめることができていないのです。最近は中学生・高校生くらいの年代が殺人事件を起こします。一昨年は少年の凶悪犯罪が続発して、「恐るべき17歳」という言葉が話題になりました。
アメリカでは一歩先でしたが、日本でも青少年の非行がひどくなって大きな社会問題になってきたのは、かれこれ30年も前の話です。特に20年くらい前からかなり深刻になって、ハイティーンからローティーンに、犯罪年齢、非行化年齢が下りてきたのです。
以前『積木くずし―親と子の二百日戦争』(桐原書店)という本が出ました。俳優の穂積隆信さんがあえて世に問うた親と子の記録です。中学生の娘が非行に走って生活が荒れる。お金を渡さなくなってからさらに荒れて、ある日母親が叱ったら、怨念のこもった目でギロッとにらんで「このクソババア!」と怒鳴ったのです。それを聞いた母親は背筋が凍りついたようになったのです。言葉は口汚く、ヤクザが使うような言葉を使う。父親に対してもそうなってしまった。竹の子族、シンナー、自転車泥棒、無断外泊、暴走、そしてめちゃくちゃになってしまう。その娘を父親と母親で命懸けで、もういっぺん取り戻していくまでの凄絶な戦いが、赤裸々に綴られています。
今や、生活水準の点で、日本ほど子供たちが恵まれている国は、世界にはあまりないでしょう。食べる物も、着る物も不自由がありません。でも「あなたは幸せか」と聞いたら、幸せだという答えは日本の中高生は、外国に比べてはるかに少ないのです。そしてやたらと親に反発するのです。皮肉なことです。それから「結婚したいと思わない」というのが非常に多いのには驚きます。
2001年7月31日、文部科学省所管の財団法人「日本青少年研究所」が発表した国際調査の結果は驚くべき内容でした。この調査は2000年7月、東京、ソウル、ニューヨーク、パリの世界4カ国の都市で中学2年生と高校2年生を対象に行ったものですが、以下はその概要です。
「あなたの人生において結婚は必ずすべきだと思いますか?」という質問に対して、驚くことに、日本の女子生徒は86パーセントが「結婚しなくてもよい」と解答している。無理に結婚しなくてもいいというのです。かといって性的な関係を持たないということではないのです。遊ぶのは遊ぶのです。人生をエンジョイしたい。でも何かとややこしい束縛されるような結婚には魅力を感じないというのです。つまり、結婚に希望を感じていない。
これはわれわれ親にも責任があるでしょう。もし、親が仲のいい夫婦だったら、「自分も結婚したい、幸せそうだから」と考えます。しかし、親がいつも喧嘩していたら、子供も結婚に希望がなくなるし、不信感を持って、したいと思わなくなるのです。
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次回は、「『子供の問題』は『親子の問題』」をお届けします。