2023.03.23 22:00
勝共思想入門 30
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「勝共思想入門」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
同書は、40日研修教材シリーズの一つとして、1990年に発行されました。(一部、編集部が加筆・修正)
光言社・刊
第八章 弁証法について
四 共産主義の弁証法
古代ギリシャの神話の中に、こんな話があります。「巨人プロクルステスのベッド」という話です。
巨人プロクルステスは、旅人を捕らえてきてはベッドの上に寝かせ、旅人の身長がベッドよりも短ければその身体を引っ張って伸ばし、身長がベッドより長ければ余った部分を切断したといいます。何でもかんでも、ベッドに合わせようとしたという内容です。
たとえていえば、共産主義者にとって弁証法はこのプロクルステスのベッドなのです。
何でもかんでも、弁証法に合わせてしまうのです。無理な部分が出てきても強引にやってしまうのです。なぜそれほどまでに弁証法に執着するのでしょうか。それは、革命のためなのです。
さて、初めに共産主義の弁証法は伝統的な弁証法から見た場合、異質なものだといいました。
どういう点が異質なのかを挙げてみたいと思います。まず、第一に、伝統的弁証法から見た場合、否定の要素、対立物は、生じてくるものというとらえ方をしています。しかし、共産主義の弁証法は、初めから対立する二つの要素が存在していると見ているのです。エンゲルスの挙げたものとしては、磁石のN極とS極、ぜん虫類の口と肛門という具合です。生じてきたものというとらえ方をしていないのです。種子の胚芽と外皮、卵の胚子と殻や内容物も、対立物であるというのです。
第二には、伝統的な弁証法の場合、変化・発展は対立する二つの要素の「統一・和解」によると考えているのに対し、共産主義の弁証法では、「対立物の闘争」の結果によるとして断言しているのです。レーニンの次の言葉がそれを表しています。「対立物の統一(合致、同一、均衡)は条件的、一時的、経過的、相対的である。たがいに排除し合う対立物の闘争は、発展、運動が絶対的であるように、絶対的である」(『哲学ノート』)。こうして、いつの間にか、発展は闘争によるという具合にすり替えられているのです。そして、それが、社会の発展に適用され、労働者階級の資本家階級に対する闘争は、絶対的であるとされるのです。
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次回は、「弁証法についての再考」をお届けします。
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