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うまくいく夫婦仲の法則 4

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「うまくいく夫婦仲の法則」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。
 目指すは「夫婦仲良し、円満一家、どんな嵐もどんとこい」! 輝く夫婦、幸せな家庭を築くための秘訣(ひけつ)をご紹介します。

松本 雄司・著

(光言社・刊『二人で学ぶ うまくいく夫婦仲の法則』〈200251日初版発行〉より)

第一章 家族についてもう一度考え直そう

5 一家団欒の消滅

 第二に、かつては、家庭の中に「一家団欒(だんらん)」がありました。それはほとんど、ご飯を食べながらの場が多かったのです。食事と団欒は結びついているのです。かつてはどこの家庭でも、家族全員で夕ご飯を食べながら、おしゃべりをする……というのが一日の楽しみの一つでした。それをずっとやっていきながら、自然と家族の絆ができていったものです。

 私たちが家族との懐かしい思い出を辿ると、それはたいがい家族での団欒の場が思い浮かぶと思うのです。一緒においしい物を食べながら話に花が咲く、そういう場面だと思うのです。そのような食事の団欒の場を通して「家族」という情的なものができていったのだと思うのです。

 では、家族の絆を育んでくれる「一家団欒」というものが、今は、どうなっているのでしょうか。ここで読者の皆様に一つお聞きします。

 「あなたのご家庭では、毎朝、家族揃って食事をしていますか? 夕食はいかがですか?」

 答えはどうだったでしょうか。

 私はここ数年、講演やカップルセミナーをしたとき、会場に参加された皆さんに、同じことを聞いてきました。その時によって、大都会の場合と地方の田舎の場合があり、参加者も400名の場合、50名の場合と違いはありますが、大体比率は変わりません。「朝食、あるいは夕食を家族揃ってしている」と答えた方は、多いところで3分の1、少ないところは5分の1でした。どうしてこんなことになったのでしょうか。

 この2030年で外食産業が急速に発展しました。30年前には、日本でこんなに外食産業が進むとは思いませんでした。また、「弁当」というものがこんなに大きな産業になるとは思いませんでした。かつては「弁当」というのは家で母親が作ってくれるものだと思っていました。今や「弁当」は一大産業です。よく売れています。その分、家で母親が作った物を食べることが減っています。「団欒」というと日曜日に家族でドライブに出かけて、レストランで食事をする――というぐらいが関の山です。

 こう考えた場合、食事を媒介とした一家団欒も限りなく少なくなっているのです。その結果、団欒の場を通しての家族の絆も生じにくくなっていると言えます。この前、都内で講演しましたら、終わった後の懇親会で、ある婦人が、「きょうのお話の通り、うちでは家族揃って食事をすることがなさすぎる、やはりこれではいけない――ということで、『夕食だけは必ず家で』ということを家族会議で決めたんです」と言うのです。

 「それはいいですね。ぜひ続けてください」と言うと、「いや、それがなかなか思うようにいかないんです」と言うのです。よく聞いてみると、まず夕方6時半ごろ、小学校に行っている下の息子と一緒に食事をする。遅れること2時間、お兄ちゃんが塾から帰ってきて食べる。そのときもお母さんは一応付き合う。それからさらに遅れること23時間、お父さんが帰ってくる。お父さんは少々冷えたご飯を食べることになるのですが、そのときお母さんは付き合ったり付き合わなかったり、というのが実情だというのです。これでは確かに家で食事はとっているものの、「一家団欒」には程遠いのです。

 すると、「うちもそうなの!」と別の婦人が言います。

 「うちも一家が揃うのはなかなか難しい。だからお父さんとも相談して、『我が家はお父さんがいる日曜日の夕食だけは、絶対家族全員で食事をする』と決めました」と言うのです。そうでもしないと本当に一緒に食事なんかできないというのです。なんだかんだと、それぞれの自分のスケジュールで動いてしまうというのです。

 「それは良かったですね」と言うと、「いや、それがなかなか思うようにいかないんです」と言うのです。

 日曜日の夜がきた。きょうは一緒に食事だ。お父さんが言う、

 「お母さん、おなかすいたよ。早く作ってくれ」

 「はいはい、あと30分でできるから待って」

 いよいよご飯ができたので、「お父さん、お父さん」とお母さんが呼んでも、お父さんはなかなか来ない。呼びに行ったらテレビに見入っている。

 「大河ドラマが始まったんだよ……」となかなか来ない。

 「何言ってんですか。早く来てください」とお母さんの怖い顔。しぶしぶお父さんは食卓についた。ところが子供たちが来ない。

 「お姉ちゃん、お姉ちゃん」と呼ぶとやっと娘が出て来た。ところが、いくら呼んでも下の息子がなかなか出て来ない。

 「あとでー」なんて言いだす。

 「だめ、みんなで決めたでしょう! お姉ちゃん、引っ張ってきて」と呼びに行ってみると、ファミコンに熱中している。姉に首根っこをつままれるようにして弟も出て来て、やっと4人がそろった。そして、「これから一家団欒」ということで食事が始まった。5分くらいしたら「ピポパピポーン!」、お姉ちゃんの携帯が鳴る。「あ、◯◯ちゃんだ」と自分の部屋に行った。そして、二度と戻ってこない……。

 「そういう状態なんですー、まったく……」とその婦人は半分泣きべそ顔でした。

 最近は、テレビ、ファミコン、携帯電話、インターネット、そういう文明の利器が発達して生活は便利にはなりましたが、それが私たちの家族の中から限りなく「一家団欒」を奪い去っているという深刻な問題があります。それらに対するはっきりした考えを持って家族の生活圏を作り上げないと、大事なものを失うことになります。

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 次回は、「『息子は何をする人ぞ』」をお届けします。


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