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43とも倶楽部誕生物語 22
43とも倶楽部のルーツは江戸時代の「会読」だった!?

櫻井 晴信

 今話題のユニークな読書会、「43とも倶楽部」。本シリーズでは、「43とも倶楽部」がどのようにしてつくられてきたのか、その誕生の物語をお届けします。

 最近、『江戸の読書会』という本に出合いました。
 読んでみると、43とも倶楽部のルーツが「会読」という共同読書にあることが分かりました

▲『江戸の読書会』

 江戸時代は士農工商という身分制度があり、生まれたら生涯身分は変わらず、出世もありませんでした。そのため、どんなに才能があってもそれを発揮する道がなく、埋もれてしまったのです。

 一方、中国や朝鮮には「科挙」という制度があって、学問で努力すれば出世の道が開かれていました。それは現代に至っても、強い学歴意識という文化になって残っています。

 それでは、江戸時代、出世とは関係のなかった学問に励むモチベーションはどこにあったのでしょうか。
 それは、儒学を学ぶことによって聖人になること、立派な政治家になって良い社会を築くことにありました。

 大変高邁(こうまい)な意識ですから、もちろん全ての人がそのように思っていたわけではないでしょう。
 しかし太平の世が長く続くことによって、武士の中にも腐敗が進み、放漫経営で借金まみれになり、商人に頭が上がらない武家が続出するという状況が生じていたのです。

 そのような中で、このままではいけないと、志を持った儒家、中江藤樹、新井白石、荻生徂徠らが儒学の普及を推進していったのです。(続く)