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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!

第126回 文化共産主義とは何でしょうか?

ナビゲーター:阿部美樹

(動画版『ほぼ5分でわかる人生相談Q&A』より)

 皆さん、こんにちは!

 今回は、「文化共産主義とは何でしょうか?」という質問に対してお答えいたします。

 共産主義とは、暴力革命によって資本主義体制を倒し、労働者階級による国家統治を実現しようとする思想です。
 ですからマルクス・レーニン主義では暴力革命を肯定します。しかし、暴力を肯定しない、変形共産主義思想が出てきました。それが文化共産主義です。

 日本を含む自由主義諸国において、文化共産主義の本質を見抜くことができず、大きな影響を受けています。
 文化共産主義の目的は、伝統的な家庭の価値である家族制度を破壊することです。

 資本家がお金の力で労働者を支配するように、お金を稼いでくる父親が、お金の力で妻や子供を支配すると考えるのです。

 階級闘争論の観点から家族制度を否定します。

 文化共産主義者による運動には、選択的夫婦別姓、男女共同参画、ジェンダーフリー思想、過激な性教育、「子どもの権利条例」、同性婚合法化などがあります。

 社会的弱者の味方の立場を取りながら、伝統的な家庭の価値を破壊しようとしています。

 文化共産主義の始祖ともいえるのが、20世紀初頭にイタリアの共産党書記長であったアントニオ・グラムシ(18911937年)です。
 彼は、共産主義革命を本当に成功させるためには「文化革命」が必要だと考えました。

 文化とは、芸術、映画、演劇、教育、新聞、雑誌などです。
 これらの媒体を通して人々に反権力、反キリスト教の精神を根付かせれば、暴力革命をせずに社会を変革することができるということです。

 グラムシの考え方が土台になったフランクフルト学派のヘルベルト・マルクーゼ(18981979年)が現れ、フロイトの理論を独自に解釈し、「エロス的人間観」「エロス文明論」という理論を確立しました。

 人間疎外の克服は、人間の本質であるエロスという性的衝動が解放された社会を実現することによってなされるという理論です。
 この理論で敵と位置付けられるのは、「キリスト教精神」「家族制度」、そして「貞操概念」などです。

 マルクーゼはアメリカの若者たちに次のように訴えました。

 「アメリカは真の民主主義国家ではない。少数のエリートによってコントロールされた社会である。この国を変革しなければならない。そして革命の手段は武器ではない。セックスとドラッグである」

 「人間の身体はあらゆる部分が快楽を求めている。性欲には善悪も合理性もない。エロスを解放せよ。エロス文明こそ人間性が真に解放された社会である。そこに戦争はない。一夫一婦制に始まる文化的規範はすべて拒絶せよ!」

 このような主張に影響を受けて、アメリカの都市部を中心にキリスト教的価値観や家庭の価値が急速に崩れていきました。
 そしてフリーセックスとドラッグがはびこる「病める大国」へと急変していきました。

 このような風潮は日本にも同じように入り込み、性の秩序が崩れていきました。
 マルクスは、一夫一婦制を「支配-被支配」の関係であると捉え、男が女を搾取し、無給の家事労働を強いるシステムだと考えます。

 夫婦とは主体と対象の関係であり、愛を交わし合う対等な関係です。
 そうであるにもかかわらず、結婚は家庭で支配するシステムであるという考え方が広がれば、家庭に対して希望を失うことは当然です。

 日本において、1999年に制定された男女共同参画社会基本法の影響で、性別役割分業を否定したり、父親と母親の違いをなくそうとしたり、夫婦の違いもなくそうとするなど、伝統的な家庭の価値を否定する思想が浸透しつつあります。

 このような文化共産主義の本質を見抜いていく必要があります。


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