2023.02.19 22:00
進化論から新創造論へ 21
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「進化論から新創造論へ」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
人間の祖先は本当にサルなのか? 統一思想からの提案は、科学的真理のように装ってきた進化論の終焉(しゅうえん)を告げる!
統一思想研究院 李相軒・編著
統一思想による新しい創造論
(4)相似性の創造
-すべての生物は人間をモデルにつくられた-
1 形態学・発生学における進化の証拠について
進化の証拠として、あらゆる生物の教科書に出てくるものに、形態学上の相同器官、相似器官、痕跡(こんせき)器官、および発生学上の発生反復説(進化再演説)があります。
祖先においては同じ器官であったものが、進化の過程で変化したものを相同器官といいます。この相同器官とは、適応放散の結果、外形や機能は異なっていても基本構造は同じものです。例えば、ヒトの手と、イヌの前足、クジラのひれなどがそうです。また、発生起源は異なりますが、環境への適応の結果、同じ外形や機能を持つようになった器官を相似器官といいます。鳥の翼(前足)と昆虫の羽(表皮)などがその例です。また、祖先の時代には働いていたものが、進化の過程で働きを失い、退化したと考えられる器官を痕跡器官(退化器官)といいます。
脊椎動物の胚を比較すると、発生初期はどれもよく似ていて、鰓裂(さいれつ〈えらあな〉)や尾を持つほか、心臓などもすべて一心房一心室の時期を経過します。進化論者はこれを、生物は個体発生の過程において、進化の道筋(系統発生)をたどりながら、過去から現在までの過程を再現しているのだと主張しています。これはヘッケル(E. H. Haeckel, 1834-1919)が唱えた「個体発生は系統発生をくり返す」という発生反復説です。
このような進化の証拠とされるものに対して、いろいろな疑問や反論が出されています。相回器官についてヒッチングは次のような疑問を呈(てい)しています。
脊椎動物の四肢の例は、同じ構造が動物の種類によって異なる機能を果たす例として、昔から教科書によく取りあげられてきた。ウマの足、鳥の翼、人間の腕、クジラのひれなどは、その働きと外見はまったく異なっているのに、なぜ基本構造は同じなのだろうか。もし突然変異が徐々に蓄積し、それによって最も適応したものが選び抜かれてきたのであれば、飛翔のための器官と走るための器官とでは、構造がまったく異なっていてもよさそうなものである(*44)。
相似器官については、その相似性の由来がよく分かっていません。小松も次のように述べています。
生物の世界では、しばしばひどく懸け離れた種の間に、形態や行動における「相似性」が現れてくる。……懸け離れた種の間に実現する「相似性」のよって来る所以(ゆえん)の探究は――ある意味では極めてとりとめのない事もあって――大きく取り残されて来たような気がする(*45)。
相同器官、相似器官に関して、ネルソン(B. C. Nelson)はキリスト教の創造論の立場から、これらの器官に見られる類似性は進化の証拠だけでなく、創造の証拠にもなりえると述べています。
類似それ自体は、神による創造をも進化をも論証するために用いられ得る。聖書を信じる者にとって生物の構造の類似は、一人の考案者、すなわち創造主が存在し給うて、多くの種を造られた時、一つの計画、言わば、一つの型を御心に持っておられ、それをできるだけ多くの生物に、生物が生息するいろいろな環境に適するように変化を与えて、用い給うたという事実の単純な証拠となるのである(*46)。
また痕跡器官のようなものはありえないとネルソンは述べています。
創造者なる神が、被造物の一つにでも、全く役立たない部分を与え給うたとすれば、確かに不合理である。神は、絶対に妨げとなるものを与え給わない。そこで、この論議の価値を決定する唯一の方法は、どれかの生物の中に一つでも無用の部分があるか、ないかを決定することである。……もしある部分が胎児の間だけ、あるいは小児の成長時代に、またはその後にでも、何かの働きを持つのであれば、その部分は有用なのである。そして進化の証拠と合理的に言われえない(*47)。
そしてネルソンは、以前にはその存在理由が分からず痕跡器官と呼ばれたものも、医学の進歩とともに次第にその働きが分かってきたのであり、したがって痕跡器官とはいえないと述べています。
発生反復説も最近では疑問視されています。ヒトにおける反復説の証拠としてよく引き合いに出されるのは、ヒトの祖先が魚だったころの特徴とされる胚の鰓裂(図18参照)ですが、ヒッチングによれば、これは咽頭嚢(いんとうのう)と呼ばれるもので、えらそのものではありません。魚ではえらになりますが、哺乳類では腺になるもので、「あらかじめ遺伝的に決められている経路へと分かれる前の胚に共通な、必ず経なければならない基本的な一成長段階にすぎない(*48)」と言っています。
このように形態学・発生学上の進化の証拠とされているものは、いろいろと問題があります。それにもかかわらず、依然としてすべての生物の教科書に載せられているのです。
*44 ヒッチング『キリンの首』216頁。
*45 小松左京『はみだし生物学』61〜62頁。
*46 Byron C. Nelson, After its Kind.
山岸登訳『種類にしたがって』伝道出版社、1961年、40頁。
*47 同書、68頁。
*48 ヒッチング『キリンの首』250頁。
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次回は、「統一思想の見解――相似性の創造――」をお届けします。