2023.01.20 22:00
【テキスト版】
ほぼ5分でわかる人生相談Q&A
幸せな人生の極意!
第121回 数字に強い人になるためにはどうしたらよいですか?
ナビゲーター:阿部美樹
皆さん、こんにちは!
今回は、「数字に強い人になるためにはどうしたらよいですか?」という質問に対してお答えいたします。
「数字」には不思議な力があります。
会話や説明の中で数字があると、具体的で理解しやすくなり、説得力も高まります。
数字は客観的な視点を与えてくれて、正しく理解するためのツールだからです。
仕事ができる人は、「数字で考えられる人」「数値化して表現できる人」でもあります。
「好き、嫌い」などの形容動詞、「速い、遅い」「良い、悪い」などの形容詞、「もっと、かなり、すごく、とても」などの副詞は皆、主観的な言葉になりやすく、これだけでは客観性がありません。
「なぜ速いと言えるのか?」「なぜ良いと言えるのか?」を説明できなければ真実味がありません。
計画を発表するときも、「近いうちに良い結果を残したい」という表現よりも、「半年後には20%増で、1年後には50%増の結果を出せるようにします」と表現した方が、明確であると同時に、結果も出しやすくなります。
ビジネスでよく使う「PDCA(Plan-Do-Check-Action)」のフレームワークでも、数字を入れることで計画が明確になり、現状把握も正確で、正しく対策することができます。
半年や1年という大きなサイクルでの目標を数値化するとともに、1日や1週間という小さなサイクルでの目標も数値化することで、明確な変化が分かります。
また、例えば「売上5000億円達成」などと言われても、数字が大き過ぎると曖昧になるので、詳細な数字にすることや、数字を比較して分析することなども、正しく理解するためには必要なことです。
また、数字には法則性があるといわれます。有名なものをいくつか紹介します。
第1は、パレートの法則(80:20)です。
「会社の8割の売上は、2割の優秀な社員によってつくられる」「社会全体の8割の所得を2割の高所得者が占めている」などのように、80:20の比率があるといいます。
これを基準に考えると、下位80%へのアプローチは、分母が大きい分、底上げ効果が非常に大きいことが分かります。
第2は、ランチェスターの法則(26.1)です。
これは戦闘行為における力関係についての法則でしたが、現在は「市場影響シェア」においても使われています。
26.1%のシェアを超えると、業界トップ・リーダーとして認知されて市場に影響をもたらす力を得るという市場影響シェアの数字です。
これを知っていれば、「市場の26.1%のシェアを取るにはどうすればよいか?」と、下限目標値を設定することができます。
第3は、ハインリッヒの法則(1:29:300)です。
1件の重大事故があれば、その背後に29件の軽い事故があり、さらにその背後には300件の、ヒヤリとしたりハッとしたりする問題が発生しているという内容です。
この観点から考えると、クレームが1件のみだとしても、その背景には多くの軽いクレームや問題があると考えることができます。
第4は、顧客関係管理の1:5の法則と5:25の法則です。「1:5の法則」とは、新規顧客に販売するコストは既存顧客に販売する5倍のコストがかかるという法則です。
「5:25の法則」とは、顧客離れを5%改善すれば利益が25%増えるという法則です。
新規顧客を獲得することももちろん大切ですが、既存顧客との関係を深めることも、企業が着実に利益を上げるためには必要不可欠な要素だということが分かります。また、どこにどの程度のコストをかけるべきかという目安を考えることにも有効です。
このように、数値化すること、数字の特徴を知ることに関心を持ち、より正しい判断ができるようになりましょう。