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新 堕落性の構造 63

 現代人に不幸を招来する「心のゆがみ」。そんな悩みの尽きないテーマをズバッと解説! 人間堕落の根源からその原因を究明している一冊です。毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

阿部 正寿・著

(光言社・刊『こう解ける! 人生問題~新 堕落性の構造』より)

18. 主体性のなさは罪観のなさ

◉円高は天与のチャンス?
 今日のマスメディアは、オウム真理教なしには夜も日も明けぬという状態です(執筆当時)。ここでオウムについて論ずるつもりはありません。もう一つのニュースをにぎわす話題を取り上げたいと思います。円高についてです。難しい経済論議は別にして、その背後にある日本人の考え方について語りたいのです。

 円高は是か非かと問われたとき、短期的にはいろんな問題が生じますが、長期的には日本経済にプラスになるといえましょう。単純に考えれば、日本がもつ資産や貨幣の価値が上がっているのですから悪いことではありません。これは天が日本に与えた大きなチャンスでもあります。

 問題は、その天与のチャンスを利用する意思や体制が日本には欠けているということです。同じマルク高に直面しているドイツには、日本の円高のような悩みはありません。それに対応する体制がすべてできているからです。

 世界の基軸通貨は米国ドルです。その米国は今や7000億ドルという借金を抱える債務国です。それに対する日本は6000億ドルという対外純資産を有する世界一の債権国です。ところがその米国の通貨が世界の基軸通貨としてまかり通り、日本円は世界の通貨とはなっていません。米国は唯一の超大国として、政治、軍事に優越するという理由はありますが、ドルを基軸通貨にするという強い決意です。日本に欠けているのはその決意と、それに向けての努力なのです。

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 次回は、「自分の力を信じない日本人」をお届けします。


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