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【テキスト版】
ほぼ5分でわかる介護・福祉QA

36回 障がい者福祉編⑱
身の回りの世話が必要な知的障害の息子がいます

ナビゲーター:宮本 知洋(家庭連合福祉部長)

(動画版『ほぼ5分でわかる介護・福祉Q&A』より)

 医学用語・法律用語としては「障害」とし、一般的な用語としては「障がい」と表記しています。

 今回は、「身の回りの世話が必要な知的障害の息子がいます。兄弟もいないので、親が高齢になり、世話ができなくなった後のことが心配です」という質問にお答えします。

 身の回りのお世話をする人がいなくなったとき、障がいのあるお子さんが自立して生活していけるのだろうかと不安に感じる親御さんは多いと思います。

 そのようなかたへのご提案として、今回は「障害者グループホーム」についてご説明させていただきます。

 障害者グループホームは、障害者総合支援法で定められているサービスの一つで、正式名称は「共同生活援助」といいます。これは、障がいのある人たちが生活上必要な支援を受けながら、少人数で共同生活を行う形態、およびその住居を指します。

 親元を離れて自立したいけれど、障がいがあって単身生活に不安がある人や、支援や介護が必要だが、施設ではなく、家庭的雰囲気の中で暮らしたいという人などが利用するのに適しています。また親が高齢になり、万一のとき、障がいのある子どもが安心して暮らせる場所を用意しておきたいという場合にも有効です。

 障害者グループホームの利用対象者は、知的障害、身体障害、発達障害を含む精神障害、または難病のある人で、支援があれば共同生活ができるということが条件となります。

 原則的には18歳以上が対象となり(15歳以上でも必要性が認められた場合は利用可能)、障害支援区分に制限はありません。ただし、グループホームごとに対象となる障がいの種類や支援区分を決めていることがあるので、前もって確認が必要です。

 グループホームの運営は、社会福祉法人、民間企業、NPO法人などが行っています。拠点の形態は、アパート、マンション、一戸建て、公営住宅などさまざまです。各住居の定員数は、原則的には210人となっています。

 グループホームのスタッフには、管理者、サービス管理責任者、日常生活のサポートを行う世話人、生活介護支援を行う生活支援員などがいます。

 障害者グループホームは大きく分けて、①介護サービス包括型、②外部サービス利用型、③日中活動サービス支援型、④サテライト型の四種類があります。

 まず①介護サービス包括型は、主に夜間や休日に介護などのサポートが必要な人を対象としたグループホームで、職員が炊事、洗濯、掃除などの家事に加え、食事、入浴、排せつなどの介助も行います。このタイプは事業所数が最も多く、中程度の知的障害がある人が多く入居しています。

 次に②外部サービス利用型は、主に夜間や休日に利用者の相談や日常生活のサポートを提供するグループホームです。このタイプでは、家事は職員が行いますが、介護が必要な場合は外部の介護事業所に委託することになります。軽度の精神障害を持つ人が入居するケースが多いと思います。

 ③日中活動サービス支援型は、夜間や休日だけでなく、日中も介護が必要な人を対象としたグループホームです。このタイプの入居者は重度の知的障害がある人が中心となります。

 最後に④サテライト型は、2014年に障害者総合支援法が改正された際、新設された制度で、グループホームの近くの住居で、一人暮らしに近い状態で生活を送る形態です。利用できる期間は原則2年間となっており、将来一人暮らしをするための準備段階のようなイメージです。

 障害者グループホームに入居するためには、まず障害者手帳を取得する必要があります。手帳が交付されたら、市区町村に障害福祉サービスの支給を申請し、障害支援区分が明記された障害福祉サービス受給者証を交付してもらいます。

 入居を希望するグループホームが決まったら、担当者がサービス等利用計画案を作成し、契約を結んだ上で入居となります。事前に見学をしたり、体験入居をしたりすることも可能です。

 グループホームの利用料は、事業所によって異なりますが、入居者は原則1割負担となっています。前年の世帯収入に応じて自己負担額の上限が設定されていたり、市町村民税非課税世帯や生活保護を受けている人に対しての家賃補助制度も設けられたりしているので、ご関心のあるかたは市区町村の窓口に問い合わせてみてください。

 それでは、今回の講座はこれで終わりにさせていただきます。