平和の大道 15
より重要な内的統一

 皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
 同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
 Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!

佐藤 博文・著

(『平和の大道-国際ハイウェイ・日韓トンネル-』より)

ハードクラッシュ(暴発・戦争・突然の崩壊)防止
 独裁国家の北朝鮮の政治体制が崩壊したら良いと単純に考える意見もあるが、国際情勢を知らない暴論である。もし何らかの理由で、たとえば軍部のクーデターで突然北朝鮮の現体制が崩壊し政治的混乱状態に陥ったと考えてみよう。

 急激な政権崩壊は、韓国、日本を中心とする東アジアに深刻な悲劇をもたらすことになる。天文学的な膨大な数の避難民が韓国と日本に押し寄せてくる。そうなれば韓国と日本に大きな政治的、経済的課題をもたらすのだ。

 核兵器の直接使用もあり得るし、または、拡散してテロリストの手に渡る可能性も大きい。核兵器をイスラム過激派に提供するかもしれない。米国はこれを一番恐れている。核兵器の拡散を防止するため米国が、韓国、日本政府の反対があっても、独自に判断して、直接大規模な軍事力を行使して北の安定化を図る。

 そうすれば間違いなく中国が経済的利権を守るという口実で北朝鮮に地上軍を侵攻させ、韓半島を中心に米中戦争が拡大する。中国は米国の北朝鮮への本格的な軍事的侵攻を防ぐため、米国の前進拠点である日本、韓国は、中国の攻撃を受ける。米中日韓の戦争となる。核兵器が使用される可能性も十分考えられる。

 北朝鮮が軍事行動に出る場合もある。韓国への武力侵攻があれば最悪のシナリオが描かれる。韓半島中心の核戦争となる可能性が高い。中国と米国が対決し、朝鮮戦争が再現される。この場合どれだけの惨劇に発展するか予想がつかない。

 これらの場合を「ハードクラッシュ」(突然の崩壊)と言う。その場合東アジアの平和、世界の平和が一度に崩壊してしまう。どのような形であれハードクラッシュは悲惨な結果になる。急激な政変や軍事侵攻のようなハードクラッシュだけは絶対に起こしてはならない。これが大前提であり、「平和戦略」に徹する以外に選択の余地はない。それを「ソフトランディング(軟着陸)戦略」と言う。

ソフトランディング戦略
 南北平和統一は北朝鮮の経済水準を高めることにより可能となる。それが「軟着陸」を意味するソフトランディング戦略の核心である。南北の平和統一にとって経済の平準化、格差の解消は決定的に重要な問題である。38度線の国境線と鉄条網が取り除かれれば南北の統一が開始される。

 韓国は寒さと飢餓に苦しむ北朝鮮国民の面倒を見なければならない。統一したとしてもインフラ整備等、国内整備費用が約150兆円とも言われ、韓国の年間国家予算16兆円の約10年分に相当する。東西ドイツの統一のため西ドイツ国民が負担した費用の10倍以上が見込まれ、韓国国民にとりその負担は巨大なものとなる。南北統一のための負担は韓国一国では耐えきれない。

 そのため今のうちから「国際的な枠組み」、「国際的な援助のシステム」を作っておかねばならない。そうしておかないと、統一のさなか、韓国経済が崩壊し、そのあおりを受け、日本経済も崩壊し、世界恐慌に発展する可能性が大きい。

 東ドイツが突然崩壊した時は、EU(ヨーロッパ連合)という一国を超えた国際的な枠組みがあったため、難民の受け入れは域内で吸収することもできた。それでも統一前は国民一人当たりのGNP(国民総生産)世界2位の旧西ドイツが統一後15位に低迷しているように、経済的負担は大変である。

 「六カ国協議」はそのためでもある。一番良い方法は、「北東アジア共同体」という国際的な枠組みができていることだが、今すぐという訳にはいかない。それに代わる国際的協調体制を早急に北東アジアに構築しておかねばならない。

 いずれにしても早急な北朝鮮の経済力の向上を目指さねばならない。文鮮明(ムン・ソンミョン)総裁が1990126日に金日成主席と会談した際に提示され合意を得た「四項目合意」に示された方向性と、その後実行された平和自動車の建設が、日本、韓国、米国、中国、ロシアの最も賢明な対北朝鮮政策の在り方を示していると考える。以下の四項目である。

ⅰ)離散家族を捜す作業を推進する。再会は老齢者を優先する。

ⅱ)核エネルギーを平和的な目的にだけ使用、北朝鮮は理にかなった核査察を受け入れる。

ⅲ)すべての国の対北朝鮮平和投資を歓迎し、軍需事業を除外した北朝鮮の平和的経済事業に統一グループが支援する。

ⅳ)統一方式を討論および決議することが出来るならば南北首脳会談開催可能であることを確認する。

 この「四項目合意」は北朝鮮の経済力向上を中心とした現実的なソフトランディングの考えである。このような基盤の上に、統一後に「南北統一大統領選挙」を実施する。これが望ましいシナリオである。

思想武装の必要性
 38度線が撤廃されて外的には統一されたとしても、思想や価値観に大きな違いがあれば同一国民として共に住むことが難しくなる。共通の思想、文化が必要となる。はたして、北朝鮮の「主体思想」で良いのか、韓国の自由主義思想で良いのか。両思想は対立するだけでどちらかで統一することはできない。

 唯物論、唯心論を統一することのできる思想・理念が必要であり、今からこの思想による教育活動を全国的に実施しておかねばならない。時が来て国際情勢が熟せば、外的な統一はいずれ実現するであろう。しかし外的な統一よりも思想教育による内的な統一の方がより重要な課題である。

 思想武装は南の韓国にとってより必要である。統一後に必ず大統領選出のための南北統一総選挙が実施されるであろう。総選挙になれば、今のように政党が分裂した状態の韓国は北朝鮮に負けることは明らかである。そうなると統一後に共産主義が韓半島を支配することになり、理想的な統一とは正反対の道を行き、歴史の流れに逆らうことになる。まず共産主義を克服できる思想武装を早急に韓国国内において確立しておかねばならない。さらに、北朝鮮2000万国民を「主体思想」から解放する準備をしておかねばならない。真の南北統一のための重要な仕事のひとつは北朝鮮国民の政治的、思想的解放である。

(『友情新聞』2012年8月1日号より)

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 次回は、「国際的枠組み作りが必要」をお届けします。


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