2022.12.26 12:00
愛の勝利者ヤコブ 14
アプリで読む光言社書籍シリーズとして「愛の勝利者ヤコブ」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。
どの聖書物語作者も解明し得なかったヤコブの生涯が、著者の豊かな聖書知識と想像力で、現代にも通じる人生の勝利パターンとしてリアルに再現されました。(一部、編集部が加筆・修正)
野村 健二・著
イサク献祭④
「全知全能の神よ」と、アブラハムは居住まいを正した。「何ごともなそうとしてなしえぬことのないあなたが、ものの数にも入らぬわたしのためにこんなにも泣き、こんなにも切願されるのですか。分かりました。あなたのご事情がどのようなものかは存じませんが、それがどんなにのっぴきならぬ重要なことかということだけは、はっきり分かりました。分かった以上はもはや迷いません。ただみ意(こころ)のままに、ただみ意のままにわたしは歩むのみです。ご心配なさらないでください」。
アブラハムはすっくと目を上げて、今しも朝日がさし昇ろうとするその場所──神が示された場所を見つめた。大気がさわやかだった。二晩を泣き通した男の声とは思えないりんとした張りのある声で、アブラハムはまわりの若者たちに向かって言った。
「あなたがたは、ろばと一緒にここにいなさい。わたしとわらべは向こうへ行って礼拝し、そののち、あなたがたの所に帰ってきます」(創世記22・5)。
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次回は、「父と子の信仰の勝利①」をお届けします。