2022.12.06 12:00
平和の大道 10
日韓トンネル建設の課題とその克服
皆さんは、『平和の大道』という書籍をご存じでしょうか。著者は、一般財団法人国際ハイウェイ財団の理事長、佐藤博文氏です。
同書は、国際ハイウェイ財団が推進する「国際ハイウェイ・日韓トンネル」プロジェクトの意義や背景などについて総合的に理解することのできる貴重な一冊です。
Blessed Lifeではその一部を抜粋して紹介してまいります。ぜひお楽しみに!
佐藤 博文・著
国際ハイウェイプロジェクトを推進する上で、九州と韓半島を海底トンネルで結ぶ「日韓トンネル」の建設が、技術的な面のみならず政治・経済・歴史等の面で多くの問題をはらみ、このプロジェクトの中で最も難しい課題である。今回、「日韓トンネル」建設に関して以下の三つの観点から論ずることにした。ここでは概略的、結論的な表現にとどめる。
技術的課題
最大の課題は対馬と釜山間の対馬海峡の海底トンネル掘削である。水深も一番浅いところで約150m、海峡幅は約60kmもあり、しかも軟弱な未固結の海底地層で断層もあり、漏水の危険性がある。
今のところ既存技術では難しいところもあるが、トンネル掘削の専門家によれば、将来の技術の進歩によってこの問題は克服できると見られている。
いずれにしてもまず必要なことは、対馬や対岸の巨済島から実際に調査斜坑を掘ってみて、海底の地層・地質を詳しく調査してデータを収集する必要がある。海上からの音波探査やボーリングを通しての調査資料だけでは不十分であるからだ。それゆえ当財団として対馬からの調査斜坑を掘削して、より詳細な地質データ収集を計画している。
政治的・経済的課題
日韓トンネルは、高度な技術と膨大な資金とが必要であり、一民間団体でできるものではなく、国家を超えた事業であるが、少なくとも国家次元の決定にまで進展しないと実現できない。韓国も政府レベルでようやく動き始めたようであり(2011年、投資に見合う効果が少ないという調査結果が出て今は一歩引いている)、日本側も超党派の議員連盟もできており、経済団体も調査に入ったようだ。ようやく国家レベルの動きが出てきたが、実情はまだ本格化していない。
膨大な建設費の捻出という深刻な問題がある。日韓トンネルの建設だけで約10兆円。工事に10年かかるとして1年で1兆円である。日本の国家予算規模から見ればそれほど大きな額ではない。日本国家が、「日本の生き残りと発展の生命線」として日韓トンネルの必要性を本当に認識し、重要な国策として取り組むようになれば、問題ない額である。
歴史的・文化的課題
一番の問題は、日韓両国の間に横たわる歴史的・文化的問題である。豊臣秀吉の2回にわたる朝鮮出兵、1910年から始まる約40年間にわたる韓国併合等、日本が過去幾度となく韓半島に攻め入った戦いの歴史がある。そのため、日韓トンネルは韓国側から見れば、過去の歴史が連想され、日本からの新たな「侵略」の始まりに映りかねない。
この両国に横たわる怨讐的な「心の壁」をいかにして突破するかということが一番大きな課題だ。元韓国統一院長官の許文道氏は、「心のトンネルから先に穿(うが)たないと日韓トンネルはできない」とまで述べている。しかし、2002年度に開催されたサッカーワールドカップ日韓共同開催を契機に、日本における「韓流ブーム」も起こっており、日韓間の「心の壁」がようやく崩れるような時代へとなりつつあり、日韓トンネル実現の環境が整い始めている。このことは日韓トンネル実現に向けた追い風である。
我々は環境の変化を待つのではなく、日韓トンネル建設推進国民運動を展開したり、対馬から調査斜坑を掘削することを開始するなどして、日韓トンネル建設推進を具体的に展開することを通して、「心の壁」突破の契機にもしようと考えて、この世紀の一大プロジェクトに取り組んでいる。
(『友情新聞』2012年3月1日号より)
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次回は、「国際ハイウェイ・日韓トンネルの実現方法」をお届けします。
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