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愛の勝利者ヤコブ 11

 アプリで読む光言社書籍シリーズとして「愛の勝利者ヤコブ」を毎週月曜日配信(予定)でお届けします。
 どの聖書物語作者も解明し得なかったヤコブの生涯が、著者の豊かな聖書知識と想像力で、現代にも通じる人生の勝利パターンとしてリアルに再現されました。(一部、編集部が加筆・修正)

野村 健二・著

(光言社・刊『愛の勝利者ヤコブ-神の祝福と約束の成就-』より)

イサク献祭①

 さて神はアブラム(のちのアブラハム)の妻サライが生まず女であるのを十分ご承知でありながら、あえて「お前の身から出た者がそのあと継ぎになる」ということを約束された。そのことをアブラムから伝え聞いたサライは、自分なりにそのようなことがいかにすれば可能になるかと、いろいろ考えをめぐらしたに相違ない。

 その思案の結果が、彼女のつかえめハガルをアブラムに第二の妻として与え、彼女によってアブラムの実子を得させるということであったのだろう。そこで、その意向をアブラムに伝えた。神と夫のためということしか念頭にないサライの犠牲的精神にアブラムは感動し、感謝してその申し入れを受けることにした。

 ところが、若いハガルが予想どおり間もなく妊娠すると、自分の子が世継ぎになるというのですっかり有頂天になり、サライを見下すようになった。アブラムに実子を得させたいという一心で計らったことがこんな結果になったのを見て、サライは腹の煮えくり返る思いをする。

 その後、アブラムが99歳のおり、再び神からの啓示があり、彼ら夫婦の名前をそれぞれアブラハム、サラと改名せよといわれるとともに、高齢のサラに男の子を授けるという驚くべき啓示があり、そのとおり一子イサクが生まれた。その結果、サラ(もとのサライ)とハガルとの対立がいっそう激しくなり、最後にはハガルがその子イシマエルを連れて砂漠に出て行かざるをえなくなったいきさつについては、すでに説明した。

 この間、ロトが住んでいたソドムと、そのそばのゴモラの町の罪悪と頽廃(たいはい)があまりにも甚だしいため、神が硫黄と火をその上に降らせて滅ぼしてしまわれる。その際、ロトの一族は神の恵みによってその地を抜け出すことができたが、ロトの妻はソドムの街に未練を残して振り返ったために塩の柱となってしまう。

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 次回は、「イサク献祭②」をお届けします。