2022.11.21 22:00
スマホで立ち読み Vol.9
『地域づくりは国づくり』13
入山聖基・著
『地域づくりは国づくり』の一部を「立ち読み」でご覧いただけます! 毎週月曜日にお届けします。
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第二章 ヤコブの信仰と成長
兄エサウのこころを知る
故郷に帰ったヤコブは兄エサウを自然屈伏させました。腕力で屈伏させたのでしょうか? 7回ひれ伏して屈伏させたというのです。
「あなたの顔を見て、神の顔を見るように思います」(創世記33・10)と言って屈伏させたのです。実に不思議な話です。一見、屈伏したように見えますが、屈伏させたというのです。これは一体どういうことでしょうか?
ヤコブは、原理的な条件の勝利の土台の上に立っていました。
第1に、第1祝福復帰の条件です。
これは信仰の復帰です。自身の内面に信仰の原体験に基づく、環境によって変わらない「信仰基台」を造成していました。それを証しするのが、21年間の「11条」の生活です。苦難の中でも感謝する心、つまり「神様のこころ」を見失わなかったのです。
第2に、第2祝福復帰の条件です。
これは神様を中心とした縦横の愛の復帰です。ハランの地での家庭復帰(第2祝福復帰)を通じて、愛せない妻レアをも愛しました。レアとラケルを一体化させる条件を立てました。
また、一族をよく教育したのです。一番本音が出やすいのは家庭の中です。もし、ヤコブが自分の境遇を恨み、兄を恨んでいたなら、それを家族の前で口にしていたはずです。そうなれば、兄エサウはヤコブの家族全体の怨讐になっていたでしょう。しかし、エサウの前で家族は口々に感謝を述べたというではありませんか。恨みを言わず、感謝を言葉にすること──言葉は人の人格にも影響を与えます。信仰教育の大切なことです。それが兄エサウを屈伏させた一つのポイントになっています。
第3に、第3祝福復帰の条件です。
これは万物の復帰です。苦労して財物を得ながらも、それを還故郷する時に、兄エサウに捧げました。普通に考えると、「もったいない!」「恐ろしくなって出したのだ」と思うかもしれません。しかし、そうではありません。兄に上げたというだけでなく、故郷に捧げたことにもなるのです。ですから、惜しいとは思わないのです。ヤコブは兄以上の“愛郷心”、そして「一族の長としての責任感」を育み、確立していたことを意味しているのです。
このように、ヤコブは「成長した」のです。
こうした蕩減の基台を整えたときに、神様から還故郷の命令が下ったのです。神様はすべてをご覧になり、その時を待っておられたのです。
ヤコブは、アベルの立場を復帰した条件的基台の上で兄に会いました。ゆえに、カインの立場に立っている兄エサウのこころを理解したのです。
恨みは、誰にも理解されない孤独と絶望から生じます。
ヤコブは、神様に愛され、祝福され、摂理を担って苦労しましたが、それにとらわれませんでした。むしろ、神様に愛されず、祝福も受けられず、サタン世界にありながらも、親を助け、一族を守り、故郷に尽くしてきた兄が偉いと思ったのです。
「兄さん、苦労かけてごめんなさい。自分が族長にしてくれと言ったのに、故郷を離れ、親孝行もせず、何もできなくてすみませんでした。それをすべて背負い、一族を守ってきてくれた兄さんには感謝しかありません。兄さん、ありがとう。兄さんは神様のようだ」
「ヤコブよ、おまえは私のこころが分かるのか!」
恨みが解けた瞬間、二人は本来の兄弟関係に戻り、抱き合ったのです。
ヤコブは偽りや方便、おべっかで、「あなたの顔を見て、神様の顔を見るように思います」と言ったのでしょうか。偽りでサタンを屈伏させることはできません。“真”だからこそ屈伏する条件になったのです。
ヤコブは故郷にすべての財物と家族、そして自分自身を捧げました。その親孝行の思い、愛郷心に兄エサウは屈伏したのです。
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次回は、「神氏族メシヤは現代のヤコブ」をお届けします。お楽しみに!