2022.10.24 17:00
コラム・週刊Blessed Life 238
マルクスの真相②~バクーニンは見抜いていた!
新海 一朗
カール・マルクス(1818~1883)は、19世紀のヨーロッパを席巻した資本主義社会の搾取の惨劇に、彼自身の抑えきれない正義感から糾弾の声を発し、資本主義を打倒する理念の構築に一生をささげました。
一言で言えば、1848年の『共産党宣言』にあるように、マルクスはアンチ資本主義の思想を完成し、社会主義から共産主義へと進む革命思想をつくり上げたのです。
皮肉なことに、マルクスのこのような思想の矛盾点を冷徹に洞察し、鋭く見抜き、否定した人物が、同じ社会主義思想の仲間の中にいました。
その人物は、ミハイル・バクーニン(1814~1876)という無政府主義者です。マルクスとほぼ同時代を生きた人物ですが、マルクスとはそりが合いませんでした。
バクーニンは、ロシアの思想家で革命家です。ロシア帝国の貴族の出ですが、ロシアのみならずヨーロッパをも変えようとした革命家でした。
バクーニンは、1844年にマルクスと会って、マルクスに対する拭い難い印象を抱いたと述懐しています。
「マルクスは、理論の高みから人々を睥睨(へいげい)し、軽蔑している。社会主義や共産主義の法王だと自ら考えており、権力を追求し、支配を愛好し、権威を渇望する。何時(いつ)の日にか自分自身の国を支配しようと望むだけでは満足せず、全世界的な権力、世界国家を夢見ている」と、彼の気質に対しては反感に近い感情を抱いており、その評価は後年も変わりませんでした。
バクーニンがマルクスに抱いた印象は、今日の多くの左派指導者が持つ特性を述べているようでもあり、非常に興味深いものです。
「上から目線」「支配の愛好」「権威に渇望」「傲慢(ごうまん)」、まるでマルクス譲りの性格を左派リーダー、左派弁護士たちは同じように備えていると思えるのです。
バクーニンは、さらに興味深いことを述べています。
「この世界の大部分は、片やマルクス、片やロスチャイルド家の意のままになっている。私は知っている。反動主義者であるロスチャイルドが共産主義者であるマルクスの恩恵に大いに浴していることを。他方、共産主義者であるマルクスが本能的に金の天才ロスチャイルドに抗い難いほどの魅力を感じ、称賛の念を禁じ得なくなっていることも。ユダヤの結束、歴史を通じて維持されてきたその強固な結束が、彼らを一つにしているのだ」
この指摘は、資本主義(その本丸であるロスチャイルド家)を打倒するはずのマルクスが、ロスチャイルド家を憧憬(しょうけい)し、社会主義・共産主義革命(それを唱道するマルクス)を嫌悪すべきはずのロスチャイルド家がマルクスの恩恵(共産主義がロスチャイルド家に富をもたらしている)に浴しているという、信じ難い謎の連係プレーが存在するという事実です。
「資本主義 VS. 共産主義」というのは、表向きの構図で、実は、資本主義国家からも共産主義国家からも利益を吸い取って大満足している存在がこの世界に君臨しているということです。
バクーニンのあらゆる権威的存在を否定する思想を受け入れるわけにはいきませんが、彼が見抜いたマルクス主義の本質、言い換えれば、今日、自由世界の「支配」「権力」の座に立つ指導層が容易に共産世界(中国・ロシア)との交易による富に渇望している事実が、マルクスとロスチャイルド家の不思議な関係から説明できると思われます。
中国は、側近をほとんどイエスマンによって固めた習近平完全独裁に突入しました。習近平が「裸の王様」になる可能性は高く、崩壊へのカウントダウンは避けられません。