2022.10.24 22:00
スマホで立ち読み Vol.9
『地域づくりは国づくり』9
入山聖基・著
『地域づくりは国づくり』の一部を「立ち読み」でご覧いただけます! 毎週月曜日にお届けします。
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第二章 ヤコブの信仰と成長
出郷の目的は「成長」
カインとアベルが一体化できなかった蕩減(とうげん)を背負って復帰摂理歴史上に立ったのが、エサウとヤコブでした。
エサウとヤコブはふたごの兄弟です。カインがアベルを殺したくなったように、二人は家督相続問題で殺人事件にまで至りそうな険悪な関係になっていきました。
しかし、母リベカはそれを察知して、事件が起こる前に、ヤコブをハランに住む自分の兄、ラバンのもとに送り出しました。ヤコブはそこで21年もの間、「ハラン苦役」と言われる大変な苦労の道を行ったのでした。
このことに対して、史吉子(サ・ギㇽチャ)先生(36双)の『原理に関する御言(みことば)の証(あかし)』には、次のように書かれています。この証(あか)し集には、史吉子先生が、真(まこと)のお父様から直接「原理」について教わった貴重な証しがいくつも掲載されています。
「ヤコブはエサウが持っている長子権を奪おうと、エサウを二度も欺きました。レンズ豆のあつものをもって欺き、父親のイサクの祝福を受ける時も欺きました。ところで実は、それは原理の道ではなかったのです。…(中略)…ヤコブが長子権を相続する思いがあったのなら、兄によく仕えて、兄によくしてあげなければならなかったそうです。そうすれば兄が感動して、『そうだ、お前が私より賢くて、すべてにおいて私より優れているから、お前が兄になるべきだ』と言ったはずです。ヤコブがこのように兄を自然屈伏させたら、凄まじい蕩減路程を行かなかったそうです」(『原理に関する御言の証』313ページ)
ヤコブは兄エサウから長子の嗣業を奪い、外的には長子権を復帰しましたが、「おまえのほうが長子にふさわしい」と言わせるような、内的な復帰が成されていなかったというのです。それで、あとからエサウが、「奪われた」と言って恨むようになり、「エサウは父がヤコブに与えた祝福のゆえにヤコブを憎んだ。エサウは心の内で言った、『父の喪の日も遠くはないであろう。その時、弟ヤコブを殺そう』」(創世記27・41)という怨讐(おんしゅう)関係になってしまったのです。
その時のヤコブには、兄を愛で自然屈伏させるだけの人格的基盤が足りませんでした。人格の基盤となるのは心情であり、信仰です。神様と私の強いつながりと愛が必要です。苦役する前のヤコブには、それが足りませんでした。
それで、それを復帰するために、ヤコブは出郷の道を行くようになったのです。摂理的に見ると、それがヤコブ出郷の目的の一つです。
ヤコブがハラン苦役に出されたのは、兄エサウを屈伏できる人格的基準まで「成長する」ためだったのです。
結果として、ヤコブは、21年間故郷を離れることになります。異郷の地ハランで、ラバンおじさんから僕(しもべ)のように扱われ、10回もだまされるような目に遭いました。しかし、ヤコブはその試練を一つ一つ克服して、たくましく成長していったのです。
ここで、人間の原理的な成長期間を考えてみましょう。
誕生から個性完成まで蘇生(そせい)期7年・長成期7年・完成期7年の21年になっています。ヤコブの苦役路程も、21年間です。これは、偶然とは思えません。
人間の堕落は、人間の責任分担、すなわちみ言を守りながら成長期間を全うできなかったことですから、「成長できなかった」という蕩減なのです。復帰とは、失われた「成長(期間)」を取り戻すことであり、蕩減条件とは「成長すること」という見方もできるでしょう。
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次回は、「信仰的確信を持つ」をお届けします。お楽しみに!