青少年事情と教育を考える 218
言葉遣いの課題は「ネット上の中傷や感情的発言」が5割超

ナビゲーター:中田 孝誠

 毎年、文化庁が行っている「国語に関する世論調査」で、日本語の言葉遣いの変化や慣用句の使い方が話題になります。

 9月に公表された最新の調査結果でも、「姑息(こそく)」や「割愛する」といった言葉について、本来の意味とは違う意味で使っている人が多いことが明らかになりました(調査対象は全国16歳以上の6000人、有効回答数は3579人です)。

 注目したいのは、「言葉や言葉の使い方について社会全般で課題があると思う」という人(全体の85%)が、具体的な課題として「改まった場で、ふさわしい言葉遣いができていないことが多い」(59.5%)と共に、「インターネットでの炎上のように、中傷や感情的な発言が集中」している(55.3%)を挙げていることです。

 半数を超えているのはこの二つだけでした。ネット上のやりとりは、社会的に大きな問題となっていますが、そうした感情的な言葉が身近にあふれていると多くの人が感じているということかもしれません。

 また、「情報機器の普及で言葉や言葉の使い方が影響を受けると思うか」も、90%以上が「そう思う」と答えています。
 具体的には「手で文字を書くことが減る」(89.4%)、「漢字を手で正確に書く力が衰える」(89.0%)などです。10代では、それぞれ67.8%、62.7%でした。

 学校現場では一人一台の情報機器が普及しています。子供たちが機器を有効に活用して学びを深めるのはもちろんですが、ネット上であっても相手を尊重する正しい言葉遣いなどを学ぶことができる、規範教育の機会にすべきだと思います。