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通いはじめる親子の心 24
「人のために生きる」喜び

 本書に出合った時からが子育ての新しい出発です。もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 「通いはじめる親子の心」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。(一部、編集部が加筆・修正)

多田 聰夫・著

(光言社・刊『通いはじめる親子の心〜子供の気持ちに「共感」する』より)

第五章 子供を愛する

「人のために生きる」

「人のために生きる」喜びを体験させる
 子供が「人のために生きる」喜びを体験することができれば、親が「人のために生きなさい」と言って聞かせる必要がありません。子供は自分の心の中から湧き出る自発的な行為として、「人のために生きる」ようになります。子供は自然に人に親切にするようになります。もちろん家庭の中で、両親や兄弟など家族に喜んで奉仕するようになるでしょう。

 親が「家族のために」と思うのはどんなときでしょうか。子供のかわいい寝顔を見たときなどに、「この子のために」と思うのではないでしょうか。親は、言われて子供のために生きようとするのではありません。自発的に、してあげたくて、「子供のために」生きようとするのです。

 そもそも、人間は、心の中では「人のために生きたい」と願っているのです。神様が、人間や自然界を、「お互いにために生き合う」ように造られているのです。自然界は、自覚せずにお互いのために生き合っています。神様から与えられた生を精いっぱい生きることが、ために生きることになっているのでしょう。

 では、どのようにしたら、「人のために生きる」ことを子供に教えることができるでしょうか。

 第一に、子供に、親の役に立ってもらうことから始めましょう。そして、子供が親のために生きてくれたら、親は感謝して、喜んであげるのです。「ありがとう」とか、「助かったよ」とか、「ああ、うれしかった」などと、感謝の気持ちを素直に子供の前で表現するのです。そうすれば、子供は「ために生きる」行動が親に良い影響を与えていることを、自覚することができるようになります。

 ですから、子供の「ために生きる」行為に対して、親の気持ちをいかにして愛情豊かに子供に伝えることができるのか、が大切です。親が感謝の気持ちを表現することによって、子供の心の中に「人のために生きる喜び」の種を植えることができるのです。

 例えば、子供が新聞を取ってきてくれた時に、「ありがとう。お父さんね、起きてすぐに新聞が読めるからうれしいよ」と自分の気持ちを素直に子供に伝えます。また、お母さんが食事の準備をしている時に、子供が茶碗を並べてくれたら、「お母さん、この時間とても忙しくてね、あなたがいてくれるから助かるわ」と感謝の気持ちを言葉にして伝えるのです。そうすると、子供に「人のために生きる」喜びを感じさせてあげることができるのです。

 このように、親が子供の行動に対して、どれほど喜んでいるか、感謝しているかを素直に伝えることによって、親の手伝いなど、自分がしたことが、親に肯定的な影響を与えていることを子供ははっきりと知るようになります。そうして、子供は「人のために生きる」ことの喜びを感じ、自発的、主体的に「人のために生きる」ことを実践し始めるのです。

 第二に、親と子供が、それぞれの心を共感した時に、子供は「人のために生きる」喜びを感じていきます。

 子供が親に共鳴し共感して、自らために生きたくなるのは、親の素直な気持ちを聞かされたときなのです。親の気持ちを言葉で表し、それを子供と分かち合うとき、子供はそれに共鳴し共感するのです。

 ある母親の話を紹介します。

 「家では、まったく親の手伝いをしない子だったのに、学校の先生から、『お宅のお子さんは率先していろいろと手伝ってくれる生徒ですね』と、褒められたのです。その原因は学校の先生だったのです。先生は、子供たち一人ひとりに感謝して、喜びを伝える人だったのです。先生が、子供たちの気持ちを共感してくれることによって、子供は自発的に『人のために生きる』喜びを感じて、行動を始めていったのです。それで、家庭でも先生と同じことを始めたのです」

 「手伝ってくれて、本当にありがとう。あなたが手伝ってくれるおかげで、お母さんはとても助かっているよ」と、親の気持ちを素直に表現することによって、子供に「人のために生きる」喜びを感じさせてあげることができるのです。「感謝」や「共感」の中でだけ、子供に大切なことを伝えることができるのです。

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 次回は、「家族の目的を持つ」をお届けします。


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