2022.08.01 22:00
スマホで立ち読み Vol.16
『いちばん大切な人と仲良くなれました』10
橘幸世・著
スマホで立ち読み第16弾、『いちばん大切な人と仲良くなれました』を毎週月曜日(予定)にお届けします。
同書は2018年から2019年秋までにBlessed Lifeで配信された「エッセイ夫婦愛を育む」の内容を書籍化したものです。
人間関係を良くするための気付きやヒントをくれる、そんな一冊です。
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第1章 自分のベストフレンドになる
― 自分を嫌っていませんか?
「過去の傷が癒えていくのを感じました」
2018年に放送されたNHKの朝ドラ『半分、青い。』の中で、主人公の鈴愛(すずめ)が仕事における挫折や離婚を経て、幼馴染(おさななじみ)やかつて恋した相手と東京で再会し、旧交を温めるシーンがありました。アラフォーとなった三人が語らう中で、「鈴愛は、過去の傷が癒えていくのを感じていました」というナレーションが入ります。
約20年越しの傷が癒えたことに、ナレーションでさらっと触れただけでしたが、私には共感するものがありました。
私の場合は恋愛関係の傷ではありませんが、さまざまな出会いの中で、傷や悔い、負債などの負の感情を残したまま(異動等の理由で)別れたケースがあります。誰が責めなくても、時間やうれしい出来事がその傷を小さくしてくれても、傷跡は残っています。もはや痛みも感じず普段は忘れていますが、何かの折に思い出すとチクっと痛みます。
そんな傷の一つ、心に刺さった棘(とげ)とでも言いましょうか、それが抜ける機会が長い歳月を経て訪れました。当の相手との20年ぶりの再会です。笑顔で再会できたこと、それ自体が解放でした。祈りや内省を通して心の内を整理することがまず第一ですが、やはり、それだけでなく、具体的に相手と言葉を交わすことが大きいです。
人間は一人では生きていけませんので、人と関わることは避けられません。その中で、意図せずとも傷つけたり傷つけられたりします。精一杯生きようとすれば尚(なお)の事かもしれません。傷ができた当初は痛くて辛(つら)いですが、時を経て振り返れば、それが成長するためのプロセスだったと分かります。そして、人の痛みが分かり、その痛みを昇華する手助けをすることができるようになるのです。
時にはその傷の一因となった相手と向き合えるようになるのに、年単位の歳月を要することもあるでしょう。物理的にその機会がなかなか巡ってこないかもしれません。いずれにしてもその期間が、私たちが成長し、器を広げる期間となります。
今、傷の痛みの真っただ中という方は、なかなか「これも勉強だ」などと受け止められないことでしょう。けれど、その苦しさがずっと続くことはありません。言い尽くされてきた言葉ですが、「明けない夜はない」「夜明け前が一番暗い」「必ず光が差してくる」……一生懸命生きていけば、人生ってそういうものだと思います。
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次回は、「神をも裁く?」をお届けします。お楽しみに!