コラム・週刊Blessed Life 224
近現代史における産業革命の足跡

新海 一朗

 産業革命は、「革命」と名が付くように、短い期間の中で大幅な変化が起きる出来事です。
 産業革命でいう変化とは、「急激な技術革新によって、それまでの農業基盤の社会から工業化の社会へと大きな変化を遂げ、資本主義経済体制が確立したこと」をいいます。

 産業革命が18世紀後半から19世紀にかけて英国で起きたことは、周知のとおりです。

 技術革新の担い手として重要な役割を果たしたのが、ジェームズ・ワット(17361819)です。ワットは蒸気機関の改良に成功し、彼の蒸気機関が実用化されたことで、ワットの蒸気機関は交通機関である蒸気機関車・蒸気船へと拡大応用されます。

 それは、「交通革命」と呼ばれ、このような動力革命において、ワットが蒸気機関の優れた開発に果たした貢献は、その後の現代科学文明の発展に、機械革命、交通革命という形で結実します。

 18世紀から19世紀にわたって起きた英国、それに続く米国、さらにフランス、ドイツ、日本などの蒸気機関の発展に支えられた第1次産業革命は、繊維産業と鉄鋼業などの機械導入による「機械化」の時代を意味するものでした。

 次の第2次産業革命は、1870年ごろから第1次世界大戦直前の1914年ごろまでとする考えが一般的です。

 第2次産業革命は、石油、電気、鋼鉄などによる重化学工業の進歩が著しく、また、電話機、電球、蓄音機などの新たな文明の利器が、人類の生活文化を豊かなものにします。動力の高度技術化も進み、内燃機関の熱エネルギー高度化などが効率性の高いものとなります。

 第2次産業革命の時代を特徴づける科学的発展の貢献、また実用化に向けた発明の功労などに関わる人物は、主に理論面では、マイケル・ファラデー(17911867)、ジェームズ・クラーク・マクスウェル(18311879)、実用化の面では、トーマス・エジソン(18471931)、アレクサンダー・グラハム・ベル(18471922)などが挙げられます。

 二つの世界大戦の開始から終了までの1914年から1945年を終えたあたりから、第3次産業革命が本格化し、第2次世界大戦終了の20世紀後半から2000年までの約50年間を、第3次産業革命の時代と見てよいでしょう。

 その特徴は、原子力エネルギーの活用をはじめ、デジタル技術の進歩に現れています。
 アナログ回路や機械デバイスからデジタル技術への進歩によって、20世紀後半の50年間は、パソコン、インターネット、情報技術(IT)などの技術革新が実現した時代です。

 技術革新によって人間の知的作業の驚異的な効率化が人間社会を大きく変えます。
 情報の共有が瞬時に行われるなど、地球が非常に狭くなってきて、いわゆる「地球村」「人類一家族」という言葉が観念的なものではなく、現実味を増してきています。

 20世紀後半に起きたパソコン、情報通信技術(ICT)などのデジタル技術の革命は、今後、21世紀の長足の進歩を遂げる科学技術の時代において、第4次産業革命の主要なテーマとなります。

 人工知能(AI)、ブロックチェーン、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー、量子コンピューター、モノのインターネット(IoT)、自動運転車(スマートカー)、3Dプリンターなど、多岐にわたる分野においての新興の技術革新が焦点となっていくことは確実です。

 第4次産業革命時代を迎えて、理論と実用化において多くの優れたプレーヤーたちが登場し、未来を担うことでしょう。