夫婦愛を育む 183
「みんな、間違うんです」

ナビゲーター:橘 幸世

 3月末の穏やかな日、ご近所を散策しました。体力維持にウォーキングを心掛けていて、週4回できれば自分に○印という緩い基準でやっています。

 やがて訪れる若葉の季節を感じさせるように、山々は産毛が生えたように見えます。
 この町には庭に手をかけている人が多く、足元には白や黄色の水仙が花開き、“三色すみれ”と言うには申し訳ないほど多様な色彩のすみれが並んでいます。

 チューリップも色鮮やかに満開です。腰や背ほどの高さには私の大好きなボケの花。沈丁花(ジンチョウゲ)は良い香りを放っています。目を上げれば木蓮、こぶし、桜が青空に映えています。

 名前を知らない花々も多く、全ての美を目に収めるのに忙しいほどでした。こんなに奇麗なものを無料で楽しませてもらえるなんて、なんてありがたいんでしょう!

 美しいものをたくさん創造してくださった神様と、その創造物をケアして展示してくださっている見知らぬご近所さんに、心から感謝しました。神様と人々のたくさんの愛を吸い込んだ、といった感じでしょうか。

 「天の父は、悪い者の上にも良い者の上にも、太陽をのぼらせ、正しい者にも正しくない者にも、雨を降らして下さる…」(マタイによる福音書 第5章45節)と聖書にあるように、日々の歩みで不足が多く負債のある私にも無条件に愛を注いでくださっている、改めてそう感じさせていただきました。

 もともと季節の中で春が一番好きです。今の花の時期も、若葉の頃も大好きです(花粉症の人には気の毒ですが)。けれど、ふと、一年中こんなだったらどうだろうとも考えました。
 まぶしすぎる日差しに時にはへきえきするかもしれません。言い尽くされたことですが、やはり冬を通過してこそ春のありがたさが分かるのでしょう。

 4月1日放送のNHK朝ドラ『カムカムエブリバディ』で、ヒロインの発した言葉が心に残りました。

 「もう自分を責めんといてください。みんな、間違うんです」

 病床にある叔母が、数十年前の悪意ある言葉を詫びたのに答えたものです。

 お日さまのように全てを包む愛には程遠い私たちは、打ち明けられたその場で一言も責めることなく相手を許すのは決して容易ではありません。ヒロインは叔母の言葉を聞いて、自分も間違っていた、間違って母を責めてしまっていたことを悟りました。

 一生懸命生きていても間違うこともある。負の感情から行動してしまうこともある。誰もが大なり小なり抱える後悔や自責の念。その痛みを知っているが故に、他者に対しても寛容になれるのかもしれません。

 「多くゆるされた者は多く愛する」という内容が聖書(ルカによる福音書 第7章3650節)にあります。

 許されて、愛されて、寛容の輪が広がるといいですね。

 まずは外に出て、お日さまと、大本の愛をたくさん浴びましょうか。

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