「幸せな結婚」を考える 16

4章 愛の成長(前編)
子女の愛(1)

ナビゲーター:長岡 高史

 「愛とは完全に利他的である」と前章において説明をいたしました。しかし、当然のことながら、人は皆最初から「利他的」な愛情を備えているわけではありません。

 生まれたばかりの赤ちゃんは最強のエゴイストです。自分が眠りたい時に眠り、起きたい時に起き、食べたい時に食べ、それがかなわなかったら大声で泣きわめく。親の事情など一切お構いなし、世界は自分中心に回っている、とおそらく思っているに違いありません。

 しかし、まずはそれが重要なのです。

写真はイメージです

 愛の成長段階を考えたときに、「子女の愛」というのは「求める愛」だということができます。親から無条件的に愛を受けながら、「愛とは何か」を全身で学んでいるのです。

 「愛」は「温かく、居心地が良く、安心感があり、包容力があり、時に厳しく、だけど優しく、いつまでもその場にいたい…、愛って素晴らしい…」と、親から無条件に愛されることを通して学ぶのです。

 さらに親から受ける愛を通して「自尊感情」が育まれます。自尊感情とは、「自分は素晴らしい!」という自らの存在に対するポジティブな感情のことをいいます。この感性は健全な成長のためにはなくてはならないものだといわれています。