2022.03.15 22:00
神様はいつも見ている 21
~小説・K氏の心霊体験記~
徳永 誠
小説・K氏の心霊体験記「神様はいつも見ている」をお届けします(毎週火曜日22時配信予定)。
世界平和統一家庭連合の教会員、K氏の心霊体験を小説化したものです。一部事実に基づいていますが、フィクションとしてお楽しみください。同小説は、主人公K氏の一人称で描かれています。
第3部 霊界から導かれて
2. 妻を伝道する
須佐之男大神(すさのおのおおがみ)との対話を通して、私は姉と同じ道に進むことを決意するに至った。
つまり、私はこのような経緯で統一教会(現・家庭連合)に入会するようになったのである。
私が統一教会に入会したのは1983年のこと、妻と結婚してから約1年が過ぎた頃だった。
子供も生まれて、本来ならば新婚ムードで幸せいっぱいの頃である。
信仰を神道から統一教会に変えると聞いた妻は驚いていた。
当然である。あれほど嫌悪していた宗教にくら替えするというのだから。
同時に妻はあまり乗り気ではない様子を見せた。
これも当然のことだ。妻は1年かけてようやく神道の信仰や儀式に慣れてきたばかりだった。
「この神道の宗教のままでいいんじゃないの?」
「うん、その気持ちはよく分かる。でも、須佐之男大神が私に統一教会に行けと言うとるんや」
「うーん」
「だから、しばらく私のやることを見守ってや」
「しゃあないな」
妻は諦めたようにつぶやいた。
妻は子育てもある。日常を回すだけでも大変だった。
しばらくの間は神道の生活をしてもらい、後から統一教会の教えを学んでもらおうと私は考えていた。
後日、統一教会の人に自分の考えを伝えたところ、それではいけないと言う。
「あなたは結婚しているんでしょう?」
「そうですが…」
「この道は一人ではなく、夫婦が一緒になって歩む道です。奥さんも子供も一緒でないといけません」
「そうは言うてもなあ…」
私は妻の顔を思い浮かべた。
妻を説得するのは容易ではない。妻はおとなしいように見えるが、根は芯が強く、私に似て頑固なところがあるからだ。
だが統一教会の人が言うことももっともなことだ。私はなんとか妻を説得したいと思った。
「では、どうしたら?」
「条件を立てたらいいですよ」
統一教会では、何か重大なことを成し遂げるためには、40日間とか、ある一定の期間、祈祷などの条件を立てるという。
その話の内容には、神道の信仰をしてきた私にはピンと来るものがあった。
母もよく父の事故のけがからの回復のために、神社に一定の期間毎日通っていたし、修行をして所願成就を願う生活をしていたからだ。
私は100日間、妻のために祈祷をしようと思い立った。
条件は、1日の十分の一を神様にささげるという意味で、毎日2時間24分、妻を伝道するための条件として祈祷をすることにした。
(続く)
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次回は、「妻のための100日条件」をお届けします。