2018.05.08 12:00
シリーズ・「宗教」を読み解く14
エルサレム会議
ナビゲーター:石丸 志信
2001年9月11日の出来事は世界に衝撃を与えた。同時多発テロの勃発で、キリスト教文化圏の欧米とイスラーム文化圏の中東が激しく対立する様相を見せた。少なからず、宗教間に横たわる恨みが噴出してきた。
この状況に危機感を覚えた文鮮明総裁は、2003年、エルサレムでの「ユダヤ教徒とキリスト教徒の和解と調和のための会議」の開催を呼び掛けた。これに応えた米国のキリスト教牧師130人とユダヤ教代表者120人に、数人のイスラーム指導者らが参加した。会場となったエルサレム市内のホテル周辺でも自爆テロが起こっていた時、この規模の国際会議が開催されたこと自体、驚くべきことだった。
会議は、ユダヤ教とキリスト教相互の歴史的な過ちを認め合った。両者の分裂の源となったイエスの十字架刑の出来事に対する理解を巡っても真摯に向き合った。結果、「われわれの犯した過去の暗部に対して悔い改め、より良き世界を希求しつつも窮状にある全ての人々に関心を払い、共に輝く未来を探求することを望む」と記した宣言に一同が署名した。