コラム・週刊Blessed Life 14
中国は世界の覇権を握れるか?

新海 一朗(コラムニスト)

 中国と米国がガチンコ勝負で角をつつき合わせ、世界覇権を争うという状況が出てき始めたと見る向きがありますが、エドワード・ルトワック(ユダヤ系)という戦略研究の専門家が分析するところは、台頭する中国に対してそれほど甘くはありません。
 米国との覇権争いは、太平洋を巡る海洋覇権の確保が一つの大きな条件となりますが、覇権は海軍力だけで決まるものではないと言っています。

 またルトワックは、武装戦闘要員を中心とする制服組の海軍力(naval power)はいくら増強しても覇権とは呼べない。それは戦争の中で潰されればそれでおしまい。その上に、海上権力(sea power)があり、政策、法律などの面から国策・外交を進める背広組の見地がシーパワーをつくり上げる。最後に、海洋力(maritime power)という、いわゆる、覇権に結び付く概念があり、これがないと覇権を握ることはできないと言っています。

 海洋力は政治家、外交官の優れた世界戦略の判断力が必要であり、中国にそれを求めることはできないということです。

 世界の海を制圧した往年の大英帝国には海洋力というものがあったので、海洋覇権を確かに掌握した。だが、中国にはそれがない。中国は華夷秩序、すなわち、華(中国)と夷(中国以外の国)の二分法で親分(中国)と子分(中国以外)に分ける発想しかないので、海洋力はとても無理。1902年の日英同盟のようなことをやれないと海洋覇権は得られない。中国にはそういう発想がない(対等な関係を結ぶことができない)ので、残念ながら米国に歯向かう覇権国家にはなれませんというのがルトワックの見解です。