2021.10.06 17:00
中和新聞セレクト Vol.2
真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第2弾は「真の父母様の平和思想~地球的危機克服の道」(ナビゲーター:稲森一郎氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2015年10月~2017年5月に全14回で配信されたシリーズです。
第6回 国連改革、国連刷新としての「アベル国連」の必要性〈2〉
本シリーズでは、人類が直面している様々な地球的規模の問題にスポットを当てながら、その問題点の本質を解説するとともに、真の父母様(文鮮明先生・韓鶴子先生御夫妻)の平和思想に基づいて、確かな方向性を提示します。今回は「国連改革、国連刷新としての『アベル国連』の必要性」(全3回)の第2回として、アベル国連の役割を中心に紹介します。
■「アベル国連」牽引、国連でのフィリピンの活躍
2003年10月15日、韓国・ソウルで真の父母様(文鮮明先生ご夫妻)が、その構想を語られた「アベル国連」は、「超宗教超国家平和協議会(IIPC)」の創設(2003年10月7日、米国・ニューヨーク)で出発しました。
「アベル国連」は、また「平和国連」との説明のとおり、「平和国連」のモデル形成が必要でした。「平和国連」のモデルとして創設されたのが、2005年9月12日、ニューヨークで創設された「天宙平和連合(UPF)」です。
2000年8月18日、ニューヨークの国連本部における「IIFWP(世界平和超宗教超国家連合)アセンブリ2000」の基調演説で示された真の父母様の「国連刷新」の提唱で、最も大きなテーマとなったのが「国連の二院制」の内容です。
現在の国連を下院とし、上院に世界の宗教指導者で構成される「超宗教超国家平和議会」を設けるという内容でした。この構想が正に「アベル国連」と呼ばれる内容に該当します。
この真の父母様の国連刷新構想に対して、当時、強く反応したのがフィリピンです。
フィリピンでは国内にキリスト教(カトリック)とイスラーム(イスラム教)の対立問題を抱えています。北のルソン島はカトリック、南のミンダナオ島はイスラームというように宗教対立があり、そして南は貧しく、北は豊かであるという格差問題と宗教対立が重なっているのです。
2003年の国連総会で、フィリピンのメルカド副代表が「宗教間の対話と協力」を促進するための組織設置を要請する決議案を提出したことは、その背景に真の父母様の構想への大いなる賛同があったからです。
その後も、毎年、フィリピンの国連での働きは大きく、2006年12月22日には「グローバルな宗教間、文明間、文化間の対話を実施するための部署を設置する」ことに関する決議案が、国連総会において全会一致で採択されました。
この決議案について、フィリピンのホセ・デべネシア下院議長(当時)は「宗教間の平和なくして国家間の平和はない」と強調しています。
宗教問題に取り組もうとする国連のこのような動きは、2010年10月20日、第65回国連総会で「世界諸宗教調和週間」に関する決議案の可決というところまで漕ぎ着け、「アベル国連」の可能性への道を開きました。
■依然続く、国家間や同一国内での宗教対立
宗教対立の問題は、国家間や同一国内でも激しい宗教の対立がしばしば見られます。
熱心に宗教を奉じながら殺し合いの惨劇を繰り返すという、平和の教えに反する宗教同士の不条理な現実を見るとき、21世紀の人類の最大の課題が、宗教戦争・宗教対立の解決であることは明白です。
イスラームとキリスト教の根深い歴史的対立は、その解決と終結を見なければなりません。
昨今、中東で進行している由々しき事態は、イスラームのスンニ派とシーア派の対立が深刻であることです。2016年1月3日、スンニ派の総本山とも言うべきサウジアラビアと、シーア派の総本山であるイランの関係が国交断絶に至りました。
サウジアラビアがシーア派の高位聖職者ニムル師を処刑したことに対し、1月3日、イランの首都テヘランでサウジアラビア大使館の焼き討ち襲撃事件が起き、両国は国交断絶する事態に追い込まれたのです。
その背後には、スンニ派のサダム・フセイン政権打倒のイラク戦争以後、シーア派がイラク政権を握ったことを機に、シーア派は周辺に勢力拡大を図りました。弾き出されたスンニ派の一部が過激組織「イスラム国(IS)」を作り、イラン、イラク、シリア、サウジアラビアなどの中東主要国家の勢力関係が錯綜し、大混乱を招いたことに対するサウジアラビアの焦燥とイランへの激しい反発があります。
このような世界の現状を打開する道は、一日も早い「アベル国連」の実質的な創設に期待する以外にないのです。
■イスラームを含む宗教圏が問題に
今日の中東情勢の混乱と惨劇を見ると、真の父母様が警告されていたとおりの状況が現れていると言ってよいでしょう。
「1954年に統一教会が出発する前から、私は、共産主義が73年以上はもたないと教えてきました。共産主義が問題ではありません。共産主義が終わったあとは、イスラームを含む宗教圏が問題になるというのです。…人類歴史が始まって以来、このような宗教圏、国家圏、民族圏をすべて網羅して、迫害を受けてもこれらを和解させようと努力し、一生を捧げて闘った人は、私一人しかいません」(『真の父母経』1291頁)
この内容からすると、共産主義以上の大問題が「イスラームを含む宗教圏」の問題であると見るべきです。それゆえ、宗教問題を解決する「アベル国連」「平和国連」の実質的な創設は不可避であり、必ず実現させなければならない重要事項です。
現在は実質的な「アベル国連」創設への準備段階と言うべきプロセスにあります。「アベル国連」ができた暁には、世界の宗教指導者たちは平和と協力と一致を目指す以外にないことを心の底から悟ることになるでしょう。
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次回は、「国連改革、国連刷新としての『アベル国連』の必要性〈3〉」をお届けします。
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