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信仰の伝統
教会創立以前から文鮮明先生に侍って(21)

 家庭連合の信仰の長兄である金元弼先生(1928~2010)の講話をまとめた書籍、「信仰の伝統」を毎週日曜日配信(予定)でお届けします。
 本書を通じて神様の深い愛と文鮮明先生の心情の世界、信仰の在り方を学ぶことができます。

金元弼・著

(光言社・刊『信仰の伝統 教会創立以前から文鮮明先生に侍って』より)

第一部[証言]先生と歩んだ平壌・興南時代
二、いつも弟子に関心をもたれる先生

▲金元弼先生

迫害の中での牧会

 教会の建物があった所のすぐ隣には、門のある家がありました。その家には、有名な牧師の娘で、統一教会に入教した婦人がいました。その主人は、大変熱心な共産党幹部でした。彼は、猟銃が好きな人でした。それで、奥さんが夜遅く帰ってくる状態だったので、彼女に対し、「お前、教会に行き続けるならば、私はこれで、あなたの教会の中心者を殺す」と脅しました。

 彼女が入教したのは、大きな恵みを受けたからです。彼女は長い間病気でした。いろいろな所を訪ねても、誰一人として、その病気を治してくれませんでした。ところが先生に出会った瞬間に、この理由の分からない病気がきれいに治ったのでした。彼女はみ言に感動していたのですが、もっと彼女を引き付けたのは、病気が治ったということです。彼女もやはり、主人をなかなか相手にしませんでした。主人が強いて関係を結んだ時には、不思議にも、彼女に異常なことが起こりました。どんどん出血するのです。そして、心配になって先生を訪ねました。しかし、関係をもたなければ、そういうことがいつあったのかと思うほどに治ってしまうのでした。

 一例を挙げましたが、先生のところには常々、「夫が先生を銃で殺すと言っている」とか、「先生を殴ろうとしている」と言ってくるのでした。あるいは「牧師が先生を何とかして追い出そうとしていますが、どうしたらいいですか」とアドバイスを求める人が来るようになりました。それで先生は、そのような話を聞かれるようになったのでした。

 子供をもっている人が、神の啓示で「これからお前は伝道に行きなさい」と言われることがあります。「伝道に行ったら、家族は全員反対します。こういう神の啓示がありましたけれども、私はどうしたらよいでしょうか」と先生に尋ねるのです。毎日そういうことの連続でしたが、先生は決まって、常に朝から夜遅くまでみ言を語られました。その時、先生は26歳でした。

牧師の反対を利用する共産党

 韓半島では、キリスト教が伝来される時、北の方に先に伝わりました。ですからキリスト教は、北の方が盛んでした。中でも平壌(ピョンヤン)には、すべてのキリスト教の中心がありました。

 神学校も有名な復興師も、全部平壌に集まっていました。平壌は、霊能者が「第二のエルサレム」と啓示を受けていたほどに、たくさんの教会がありました。日曜日には鐘の音でうるさいくらいでした。そういう所に先生が一人でやって来られたのです。平壌の牧師たちは、その教会の中心幹部で、統一教会につながっているメンバーに対して、「私が今日、あなたの先生に会い、目の前で聖書の討論をして、その教会がどれくらい異端であるか、お前に見せてあげよう」と言って、先生を訪ねました。「それを見たら、お前は必ずこの教会に帰ってくるようになるだろう」と念を押して。

 訪ねてきた牧師を、先生は丁重に迎えられました。そして先生は、その牧師が何を聞いてくるか御存じでしたから、牧師が話す前に、彼が話そうとするすべての問題についてお話ししてあげました。聖書を通して、ずーっと説明されるので、牧師は何も言うことができなくなりました。彼はただ、「本当に苦労していますね」という一言を残して、去っていきました。そして、この牧師によって、聖書で討論しては先生を負かすことはできないといううわさが徐々に流れていったのでした。そしてついに彼らは、共産党の官憲に投書をしたのです。

 教会の重要な幹部たちが統一教会へ行っていることに対して、「異端だ」と言うだけでは、説得することがなかなか難しいと分かり始めました。しかし、教会では、その重要な幹部たちが全部出てしまうと教会を運営することが難しいと気がついて、どんなことをしても彼らを取り戻さなくては、と考えざるを得ませんでした。

 彼らが取り上げた問題が何かというと、「淫乱に違いない。淫乱な集団である」ということです。統一教会は淫乱な集団であると、問題にし始めました。「この教会は、家庭を破壊する教会だ」というふうに言い始めたのです。その次に、「教会を破壊する」と考えたのです。つまり、「社会の秩序を乱している」というのです。これを利用したのが共産党でした。彼らは、「この団体は家庭を破壊し、教会を破壊する」として、さらに「共産主義社会の秩序を破壊するものだ」といって問題にしたのです。

 家庭や教会から反対されればされるほど、メンバーたちの信仰はより強くなり、霊界の協助は一層強くなったのでした。霊人たちは、細かいところまで教えてくれたのです。

 教会の長老たちは、組を成して先生の所へやって来ました。そして、先生の髪の毛を引っ張って迫害しました。そういう中にあっても、先生は抵抗せず、優しい羊のように、なすがままにしておかれたのでした。その場を見ていたメンバーたちは憤慨して、その人たちを引き離すようにして帰したのでした。

 先生は、こうした教会の中心幹部で、み言が分かり、神のみ旨がよく分かった人たちには、「教会に再び帰って、み言を伝えるように」とお話ししてくださいました。けれども、そういう人たちは、一度恵みに出会うと、なかなか自分の教会には帰りたいとは思わなかったのでした。先生の言うことを聞かずに、先生の所にいつもいつも来ていたので、迫害が非常に激しくなりました。

 食口(シック)になるのに、二つの場合があるといいます。まず非常に難しい問題を抱えているとき、もう一つは非常に喜びにあふれているときです。この人たちは、恵みの中にあったので、先生の言われることをなかなか聞けなかったのです。

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 次回は、「おじさんの回心」をお届けします。


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