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愛と人生の道しるべ 25

 もう一度皆さまにぜひ読んでいただきたい、編集部イチオシ!なコンテンツをご紹介。
 「愛と人生の道しるべ」を毎週木曜日配信(予定)でお届けします。

酒井 正樹・著

(光言社・刊『若者に贈る~愛と人生の道しるべ』より)

7章 幸福な夫婦となるために

自由な愛の関係が必要
 考えてみれば、結婚する前より結婚後の人生のほうがはるかに長いのです。そこには喜びだけでなく、悲しみや苦しみもあります。そのとき、どのように対処したらよいのでしょうか。

 男性は仕事で苦しくなったり辛(つら)くなったりすると、その心を癒やしてくれるやさしい母親のような存在を求めるようになります。立派な肩書きを持ち、多くの人から尊敬されているような人であっても、時にはすべてを忘れて子供のようになり、母親の懐で甘えたいという欲求を持っているものです。

 反対に、妻の立場から考えても、しっかりと自分を守り支えてくれる父親のようなたくましい男性像を夫に求めます。

 これは常に父親、母親というのではなく、夫婦はお互いの気持ちに応じて心情を自由に変えられるのが理想的です。ある時は親となって相手を甘えさせ、ある時は子供となって相手に甘える……。

 このような愛の回路ができあがると、そこから愛情が無限に溢(あふ)れ出てくるのが分かるようになります。愛は自分の心の中にはないのに、どこからか大きな熱い思いが心に感じられ、その思いに反応して相手への愛情が湧き上がってくるのです。

 こうなると、二人が二人ではなくなります。四人、あるいはそれ以上の力にもなっていくでしょう。そして、二人の間に湧き上がってきた愛情を周りの人々に分け与えたいと思うようになってきます。情的なゆとりが生まれ、喜びが溢れ出るようになります。仲の良い夫婦が持つ、安定感や力強さ、輝くばかりの喜びの表情は、そこから生まれてくるのです。

 不幸な夫婦というのは、この親─子、子─親という愛情の歯車がうまく合わない夫婦です。一方が、いつも権力的な親であったり、溺愛的な親であったり、あるいは二人とも愛情に飢えた子供だったり……。こうなると、二人でいることがむしろ苦痛となり、仕事に取り組む意欲や生きる力さえそがれてきます。

 幸福な夫婦になるか、不幸な夫婦になるかは、結婚する前に人の気持ちが分かる人間となっているか、他のために尽くすことのできる人間になっているかによります。自分を高める努力をしているかどうかにかかっていることを、独身の皆さんはよく覚えておいてください。

 結婚したら幸福になれるかもしれない、何かいいことがあるかもしれない。そういう安易なものではないのです。

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 次回(9月9日)は、「すてきな夫婦になるための努力」をお届けします。


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