2021.07.21 17:00
中和新聞セレクト Vol.1
真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道
統一運動の情報から国内外のニュース、各種講座に至るまで、さまざまなコンテンツを毎週2回(火、金)配信している『中和新聞』。Blessed Life編集部が同記事のアーカイブスからおすすめのコンテンツをセレクトして皆さまに紹介します!
第1弾は「真の世界平和を求めて~人類的課題と根本的解決の道」(ナビゲーター:魚谷俊輔氏)のシリーズを毎週水曜日(予定)にお届けします。
同コンテンツは『中和新聞』2017年5月~2019年11月に全24回で配信されたシリーズです。
第19回 人種差別問題を解決する「交叉祝福」
「人種差別」は、近代の世界が抱えてきた大問題の1つです。20世紀後半になり、ようやく本格的解決への取り組みが始まりましたが、いまだに世界各地に根強く残っています。この問題の変遷を解説するとともに、文鮮明師ご夫妻が、その根本的解決のために推進される、国や人種を超えた「交叉祝福」について紹介します。
■人種差別の起源と変遷
人種差別の起源は、ヨーロッパ諸国による「新大陸の発見」であると言われています。
スペイン、ポルトガル、イギリス、フランス、オランダなどの国々は、アフリカ大陸中央部の西海岸で黒人奴隷を買い取り、彼らを南北アメリカ大陸に送り出して植民地を建設しました。
これに伴い、アフリカ系の人々の血を受け継ぐものは全て黒人とされ、黒人と白人に人種を分離する二元的な人種システムが誕生。黒人はしばしば野獣に等しい“野蛮人”だとされ、人間性のかけらもないと考えられたのです。
やがて世界の人類を人種によって分類する思想が生まれました。
文明化したヨーロッパ人、堕落した文明人のアジア人、自然に近いアメリカ人、野蛮なアフリカ人というように、身体的特徴だけではなく、気質や習慣などの文化的特徴でも分類されるようになりました。ヨーロッパ人こそが“理性によって完成に近づいた人間”との前提で、“完成度の差異”によって人種が分類され始めたのです。
アメリカ合衆国の建国に当たっては、「誰を国民とするのか」という国民の枠組みの決定が大きな問題となりました。さまざまな議論がなされた結果、アメリカは白人と非白人の人種差別を認めて制度化した最初の国となったのです。
アメリカの黒人には選挙権が与えられなかっただけではありません。南部諸州では異人種間の婚姻が非合法となり、公的な空間(交通機関、学校、公園、競技施設、宿泊施設、プール、トイレ、墓地など)が、白人用と黒人用に分離されるようになりました。
■国策によって正当化される
差別に遭ってきたのは黒人だけではありません。“アジア人が脅威”とする主張に「黄禍論」があります。これは労働力として大量に押し寄せた中国人に対する恐怖心から唱えられ始めました。やがて日本人やインド人など、他のアジア人移民にも向けられるようになり、その権利が制限されるようになります。
「白豪主義」は、オーストラリアが白人国家をつくるために有色人種の移民を制限した政策のことで、1901年から1970年代初めまで続きました。アメリカ、カナダ、ニュージーランドでも、同じようなことが起こりました。
ヨーロッパでは、“ジプシー”と呼ばれた集団やユダヤ人が、人種的・民族的差別の対象となり、南アフリカでは「アパルトヘイト(人種隔離)体制」が導入され、人種差別が国家政策として正当化されたのです。
「人類が大きく進歩した時代」と考えられている20世紀に、最も甚だしい人種差別が、このように公然と行われていたのです。
しかし第2次世界大戦後、その状況が世界的に大きく変化しました。人種差別撤廃に向けて大きな影響力を与えた運動の1つが、キング牧師の「I have a dream(私には夢がある)」の言葉で有名なアメリカの公民権運動です。
この頃になってようやく人種差別が社会的に認められない時代が到来。人種に基づいて差別的な扱いをする制度は撤廃されていきました。
しかし、この問題が再燃する可能性がなくなったわけではありません。近年、ヨーロッパで移民排除を訴える右翼勢力が台頭し、アメリカでは白人労働者たちの不満を背景としてトランプ政権が誕生しました。それらが人種差別思想の復活の兆しとも捉えられているのです。
■人種主義は身体的特徴で人を差別する“思想”
そもそも「人種」とは、身体的特徴で分類した人類の下位の区分のことで、このような体系的分類は18世紀に誕生しました。
人類という種に複数の亜種が設けられ、白人、黒人、アジア人、アメリカ先住民に対応する人種が、人類の亜種と考えられたのです。
現在、人類は1種1亜種で、複数の亜種は存在しないと考えられています。すなわち、生物学的な分類としての「人種」は存在せず、社会的・文化的な要素によって分類されているにすぎません。「人種主義」は、科学的、客観的な根拠なしに、身体的特徴を指標として人を差別する“思想”なのです。
■根本的解決のための文鮮明師の観点
文鮮明師は、人種問題の本質とその解決法について次のように語られています。
「神様の目には、皮膚の色の違いはありません。神様の目には、国境が存在しません。神様の目には、宗教と文化の壁が見えません。これらすべてが、数万年の間、人類の偽りの父母として君臨してきた悪魔、サタンのまやかしにほかなりません。…
白人と黒人が、東洋と西洋が、ユダヤ教とイスラーム(イスラム教)が、さらには五色人種が一つの家族になって暮らせる道は、交叉結婚の道をおいて、ほかに方法があるでしょうか」(「神様の理想家庭と平和理想世界王国Ⅰ」、2005年9月12日。『平和神経』34-35頁)
「人種の分類」に科学的根拠はなく、その差別が、偏った思想に基づいた幻想にすぎないのであれば、それを根本的に解消するために国や“人種”を超えた結婚を推進し、真の愛によって”人種”の壁をなくすことができるのです。
文鮮明師ご夫妻が推進される「交叉祝福」によって生まれてきた子供たちは、異なる“人種”の特徴を兼ね備えた“ハイブリッド”です。彼らは、人種問題を超越した、真の愛によって誕生した“新しい人類”と言えるのです。
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次回(7月28日)は、「『道徳言論』を推進する統一運動」をお届けします。
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