夫婦愛を育む 163
カラスに荒らされて

ナビゲーター:橘 幸世

 燃えるごみの収集日、いつものようにごみ袋にネットを二重にかぶせて自宅前に出しました。カラスに袋をつつかれないためです。
 収集車が停まった音がしたので、程なくネットをしまいに出てみると、なんとごみが散乱しています! しかも生ごみばかりが大量に! ネットの隙間からカラスがつついたのでしょう。破かれたごみ袋自体は回収されていました。

 今の所に住んで12年近くになりますが、カラスに荒らされたのはこれが2度目。ネットを掛けるようになってからは初めてですので(その上先回よりも量が多い)、結構ショックでした。
 自宅前にネットと共にごみが散乱する光景もなかなかのものです。急いで新しいごみ袋を持ち出し、往来する車に気を付けながら一つ一つ手で拾い集めます。そんなレアな作業をしながら、感じたことがありました。

 まるで自分の堕落性が目の前にまき散らされて、かがんでそれを拾い集めているようでした。カラスと言えば、聖書ではサタンの象徴です。そう感じるにはもちろん、前提となる出来事があります。

 前々日から、受け止めきれないみ言があってモヤモヤしていた部分もありました。ある人の対応に気分を害していたこともありました。
 前日は、その人への返信に正直な気持ちを織り込むか、大人の対応をするか、迷っていました(この時点で未熟さ露呈ですね)。

 メールで苦い経験をしたことのある私は、そういう時、すぐには返信しないようにしています。時間がない時は、最小限のメッセージにとどめます。その日は時間があったので、主人の帰りを待って意見を聞いてから返信することにしました。

 諸々の用事をこなす中、やがて、先方もなんとかしようと一生懸命努力されたことに思いが至りました。そう思えたので、気持ちの良い返信をしよう、と決めたまではよかったのです。

 帰宅して一段落した主人に相談すると、結論は一致しますが、その過程が今一つでした。
 「率直に書こうかとも思ったんだけど…」という私の言葉を受けて「お母さん、それはやめようよ」と私の最終判断を聞かずに返す主人。裁かれたような気分で内心面白くありません(教訓:夫婦間に“正しい”“正しくない”が入ると厄介です)。

 互いに相手の思考の癖、感情の傾向を分かっていて、受け止め共感しようと双方が日頃努力していると感じています。
 本音も(だいたい)言えるし、相談もできる、有り難い関係です。でもやはり、つい素で反応してしまうことも…。
 お互いさまなので分かるものの、スッキリしないでいた私でした。

 そんなモヤモヤがごみとなって現れて、奇麗にする作業をさせられたのでしょうか。
 神様が思わぬ形で私の心を整えてくださった、ごみ散乱事件でした。


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