2021.06.21 17:00
コラム・週刊Blessed Life 172
エネルギー革命は驚異的なところまで進む
新海 一朗(コラムニスト)
人類は化石燃料エネルギー(石炭、石油、天然ガス)を中心に、人間の生活に必要なエネルギーを手に入れてきました。しかし二酸化炭素をはじめとして、メタン、一酸化二窒素、フロンなどの温室効果ガスが地球温暖化を引き起こし、環境破壊、自然破壊で悲鳴を上げる地球の姿をつくり出しているという理由から、化石燃料エネルギーを規制する動きが活発化しているのが世界の現状です。
二酸化炭素を発生させない原子力エネルギーに期待する声もあったわけですが、チェルノブイリ原発の爆発、福島第一原発の津波による大事故などから、現在の形での原発は安全性が確保されない限り、積極的に推進することはできないという世論が支配的になりました。
そうかと言って、再生可能エネルギー(太陽光、風力、地熱、バイオマスなど)が人類のエネルギー問題をどこまで解決してくれるかと言えば、それも100%頼れるものとは言い難いものがあります。
現在上がってきている代替案はトリウムを使った溶融塩炉で、プルトニウムを燃やしながら新たなエネルギーを生み出すことが可能であるということです。
これは、核兵器原料としてのプルトニウムをトリウム溶融塩炉で燃やしてエネルギーを得ることになりますので、厄介なプルトニウムを有効活用して無害な物質に変えることにつながります。そういうことで、現在、非常に注目度が高まっています。
もう一つは、「常温核融合」によってエネルギーを得るという大きな可能性が見えつつあるということです。
今までは、ウランの核分裂を中心に核のエネルギーを得るという考えが中心でしたが、核融合によるエネルギーを取り出して人類の未来に貢献してもらうという考えが、もう一方にありました。
しかし、そんなことは不可能であると考えられていました。
太陽エネルギーは太陽の中で起きている核融合から生じますが、核融合が起きる条件は想像を絶する超高温(100万℃~1000万℃)、超高圧の環境が必要です。そういう環境を準備することはできないということから、核融合エネルギーは不可能の烙印(らくいん)を押されていたのです。
北海道大学で核融合の研究を続けていた水野忠彦氏は、数百度の温度(これを常温と言っている)、60気圧から100気圧の環境があれば、核の融合(変換)が起きているという証拠を見いだし、世界が諦めていた核融合のエネルギーという可能性を開いています。
自動車産業は車を走らせる燃料(エネルギー)が不可欠ですが、それを石油(二酸化炭素を出す=地球温暖化の元凶)に頼っていたものを電気にするなどの対策で、世界は右往左往の状況です。
そんな中で、世界でもいち早くトヨタが核融合エネルギーの開発に取り組み、大変なエネルギー革命を起こすことになるかもしれません。
その可能性は十分にあります。核融合に必要な資源はウランではありません。水です。海に大量に存在する水です。正確に言えば、水に含まれる水素です。水素の一種である「重水素」と「三重水素」の反応を利用するのです。
もしかすると、未来のエネルギー革命を日本が起こすことになるかもしれません。日本の驚異的な科学技術(常温核融合)、エネルギー革命が、人類を救うかもしれないのです。