2021.03.23 17:00
シリーズ・「宗教」を読み解く 159
3.11東日本大震災10年の祈り③
被災地を歩く、犠牲者の魂のために祈る
ナビゲーター:石丸 志信
3月6日は地元の平和大使の案内で仙台市若林区の被災地を訪問。南北に延びる仙台平野の中央部に当たり、10年前、甚大な津波の被害があった地域だ。
最初に訪れた「浪分(なみわけ)神社」は、津波の浸水域の境目に建立されたといわれる。海岸からは5.5km離れているが、天保の大地震の時、海の神が白馬に乗って降臨し、襲い来る大津波を南北二つに分断して鎮めたと言い伝えられている。
ここから海岸に向かって2kmくらい行くと、海岸線と並行してほぼ南北に高架の仙台東部道路が走っている。
道路をくぐると風景は一変する。
10年前の大津波は、海岸の集落を全て飲み込み、この道路で止まった。
海岸近くまで進むと、復旧整備は進んでいるものの、人の住む集落はない。ぽつんと残った荒浜小学校は震災遺構として当時の状況を伝えている。
校舎の中を見学できるが、2階辺りまで来た津波によって破壊された教室は時間が止まったままに思われた。
4階展示室には、地震発生から避難、津波発生、救出までの過程が映像と資料で示され、防災について学べるとともに、喪失した集落のパノラマや映像で集落と小学校の思い出も残している。
屋上から海を眺めた後、浜辺に建立された犠牲者を鎮魂する慰霊塔の前で静かに祈祷をささげた。