ファミリーサポートコーチング講座 5

 「ファミリーサポートコーチング講座」は、文字どおり、より良い家族関係や人間関係を実現するために読者の皆さまをサポートするコーチング講座です。
 毎週月曜日配信予定です。皆さまの家庭生活、信仰生活、社会生活にぜひお役立てください。

第5回 ラポール1 ミラーリング

信頼関係を築く~鏡のように自分の動作を合わせる

ナビゲーター:西森 響
監修:阿部 美樹(伝道教育局)

 今回は、ファミリーサポートコーチングにおいて大切な要素となる「ラポール(信頼関係)」、そしてラポールを築くためのミラーリングについてお伝えします。

【ラポール】
 ラポールとは、フランス語で「架け橋」を意味し、コーチングでは、コーチとクライアントの間の「信頼関係」のことを言います。

 織田信長上洛の際、鎧(よろい)を脱いで京の町に入ったといわれています。
 町の人々の立場になって想像してみると、信長の姿を見て「戦乱が終わり、安全な世になるのだ」と実感できたことでしょう。

 人間は安全・安心がないと、外界から身を守るために力を使うのでエネルギーを消耗します。安全・安心を得ると無限の力を発揮することができます。
 このようにして、安全・安心を感じる人間関係ではラポールを築くことができます。

 ラポールを築くために大切な四つの要素が、「ミラーリング」「ペーシング」「傾聴」「共感」です。

 今回は、ミラーリングについて説明します。

【ミラーリング】
 ミラーリングとは、相手の動作に対して、「鏡のように自分の動作を合わせること」を言います。

 喫茶店で話している人たちを観察すると、気付くことがあります。
 仲良く話し合っている人たちは、お互いがコピーだと言ってよいほどよく似た姿勢を取っています。

 二人とも肘をついてテーブルに寄り掛かる、同じように足を組む、二人ともポケットに手を突っ込む、彼らは無意識のうちに同じ姿勢を取っています。

 脳の一部である脳幹は、本能・生命維持に重要な役割を果たします。
 脳幹は安全・安心・楽しさを求めています。そして、似たものを味方、異なるものを敵であると認識します。

 打ち解けた二人は、無意識のうちに似た姿勢、似た動作をしています。

 コーチは、クライアントと似た姿勢を取り、似た動作をすることによりラポールを築きやすくなります。

 具体的には、表情、うなずくタイミングや深さ、姿勢(前のめりか、後傾姿勢か)、足の組む向き、手を置く位置、腕の組み方などを自然に合わせるように行動することです。

 私たちの日常生活においても、相手と似た姿勢、似た動作をすることで、コミュニケーションが取りやすくなるかもしれません。

 次回は、「ラポール2 ペーシング」についてお伝えします。