イスラエルの民は、カナンの豊かな生活に慣れるにつれて、神様のことをおろそかにするようになりました。そんな中にも神様に祈る人がいました。ハンナという女もその一人です。年に一度は神殿に詣でます。この日も神殿で泣きながら祈っていました。子宝に恵まれないのが、とても悲しかったからです。「神様、どうか私に男の子を授けてください。その子を一生の間神様に捧げます」。哀れに思った祭司エリも彼女のために祈りました。やがて神様は、その祈りに応えて男の子を授けました。子はサムエルと名付けられました。乳離れすると祭司エリに預けられ、神殿で神様に仕えました。彼は神様にも人々にも愛されて育ちました。
「サムエルよ。サムエルよ」。ある夜、彼の名を呼ぶ声を聞きました。サムエルは飛び起きてエリの元に走って行きましたが、エリが呼んだのではありません。「帰って寝なさい」と言われて寝ていると、また声がしました。神様の声だと悟ったエリは彼に言いました。「また呼ばれたら『しもべは聞きます。主よ、お話しください』と言いなさい」。声がしました。「サムエルよ。サムエルよ」。「しもべは聞きます。お話しください」。彼は教えられたとおりに応えました。神様は親しくみ言を語られました。以来、サムエルは神様の定められた預言者として成長していきました。
ある時、ペリシテ人との戦いで4000人もの民が犠牲となりました。神様の助けを求めて契約の箱を戦場にまで運び込みましたが、さらに3万人もの民が帰らぬ人となりました。ペリシテ人は契約の箱を奪い取り、偶像の横に据えました。次の朝、偶像は倒れていました。何度立て直しても翌朝には倒れ、とうとうバラバラに壊れました。神様は契約の箱を軽んじたペリシテ人を腫れ物で苦しめました。恐れた人々は契約の箱をイスラエルに返しました。
それから20年。サムエルは民を治め、その心を神様に向けさせました。民は全ての偶像を捨てて神様にのみ仕える決意をしました。サムエルは民を一堂に集めて祈りを捧げました。すると、そこにペリシテ人が攻め込んできましたが、彼らは祈ることをやめません。「神様、どうか民をお守りください」とサムエルが叫ぶと、神様はペリシテ人の上にドドーンと大きな雷を轟かせました。ひるんだすきにイスラエルの民は、ペリシテ人に反撃し、追い払いました。サムエルが亡くなるまで、二度とペリシテ人に征服されることはありませんでした。
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