「オオカミ王ロボ」はシートン動物記の一つとして知られています。この物語はシートンのもとにアメリカの知人から「牧場の牛が狼に襲われて困っています。助けてください」という手紙が届いたことが発端でした。
ロボはがっしりとした大きな狼で、自分の倍以上もある体重の牛を引きずり倒す強力な力と、あらゆる罠をかいくぐる知恵を持ち合わせていました。
依頼を受けたシートンはロボの群れの追跡を開始します。ロボも含めて6頭ほどの小さな群れであるにもかかわらず、群れを構成する狼たちは、普通の狼より大きくて強力な精鋭揃いであり、整然とした統率にもとづいて鮮やかな狩りを見せるロボの賢さにシートンは驚嘆します。
しかし、追跡を始めてから3か月が経った頃、シートンはロボの群れの足跡を見て、あることに気づきます。それは群れにいる一頭にのみ、厳格なロボが寛容な態度を取っているというものでした。
その一頭とは、「ブランカ」と呼ばれるロボにとって妻のような特別な存在の狼で、これがロボの唯一の弱点と悟ったシートンは捕獲対象をブランカへと変更します。
これが功を奏し、ブランカを奪われたロボは冷静さを失い、シートンが仕掛けた罠に捕らわれたのでした。
ただ、あくまでも人間に屈しないロボの最期を見たシートンは、その野生の気高さに敬服するしかなかったのでした。
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