モーセはミデヤンで暮らし始めました。結婚し、息子も生まれ、羊飼いとして穏やかな日々を過ごしていましたが、そこが自分の安住の地ではないという思いは消えませんでした。長い年月が経ち、エジプトの王は代替わりしましたが、イスラエルの民の苦労は変わりませんでした。彼らのうめきや叫び声は神様に届きました。
ある日、モーセが羊の群れを導き神の山ホレブに来たところ、炎に包まれても燃え尽きない柴がありました。近づいてみると、「モーセよ、モーセよ」と柴の中から呼ぶ声がします。「はい」と応えるモーセに声は続けました。「私はあなたの先祖の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。私はエジプトにいる私の民の苦しみを知っている。あなたをパロ王につかわし、イスラエルの民をエジプトからカナンの地に導こう」。モーセは驚きました。「私にはできません」。「私は必ずあなたと共にいる」と神様は諭しました。民は信じないだろうとモーセが恐れるので、神様は三つの奇跡を授けました。一つ目は杖が蛇に変わるというもの。二つ目は手を懐に入れるとらい病になり、戻すと治るというもの。そして三つ目はナイル川の水を血に変えるというものです。この奇跡を見れば民はモーセを信じるはずだと神様は励ましました。それでもモーセは「人前で話すのは苦手です。誰かほかの人にしてください」と拒むので神様は怒って言いました。「私が何を話すかを教えよう。そしてあなたの兄アロンをあなたの口の代わりとしよう」。ようやくモーセは神様の杖を手に取り家族を連れてエジプトに帰りました。兄のアロンを通して語られた神様のみ言とモーセの奇跡を見て民は信じました。
モーセとアロンは王に談判するために宮殿に行きました。「イスラエルの神様が苦しみを与えると言っています。皆でエジプトから三日間出て礼拝を行わせてください」。王はかえって民にもっとつらい労役を与えたので、モーセを信じる者はいなくなりました。
悩むモーセに神様は「エジプト人はすぐに私が全能の神であることがわかるであろう。私は必ず民を救い出す」と言って、モーセたちに語るべきこと、なすべきことを教えました。モーセたちは再び王を訪ね、目の前で一つ目の奇跡を行いました。王の魔術師たちも彼らの杖を同じように蛇に変えましたが、モーセの蛇がすべて飲み込んでしまいました。王はかたくなでした。エジプトは大いなる災害に襲われることになります。
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