青少年事情と教育を考える 137
児童虐待の危険性高めるDV10代妊娠

ナビゲーター:中田 孝誠

 11月は「児童虐待防止推進月間」です。
 児童相談所の児童虐待相談対応件数は年々増加し、昨年度は19万3千件余りに上りました。今年1月~6月が9万8814件(速報値)で、過去最多となるペースとなっています。

 一方、厚生労働省の専門委員会が、虐待により子供が死亡した事例の分析結果を9月に公表しました。それを見ると、加害者は実母が約半数ですが、近年は実母自身がDVの被害を受けている事例が目立つことが分かりました。

 過去10年ほどでは、分かるだけで2割の母親がDVの被害者でもありました。
 DVがあった事例では、「10代での妊娠・出産経験がある実母が多く、未婚の一人親や内縁関係といった、子育ての支援が必要と考えられる家庭が多い」「地域社会や親族との接触は乏しい」「実母自身に社会経験の少なさやパートナーとの関係性等が相まって安定した家族関係を築くことに難しさを抱え、家族が社会や親族から孤立していった場合に、子ども虐待が深刻な結果になる」と述べられています。

 専門委員会はこれまでも、「若年(10代)妊娠」(養育能力が不足。未婚であったり、実父の状況が不明。祖父母と同居しておらず、地域社会との接触もほとんど無い等、周囲の協力が得られにくい)、「転居」(今までの社会的支援が途切れた中で、新しい家族関係を構築する等、家族に大きなストレスがかる状況)など、虐待のリスクを高める要因を述べています。

 父親と母親の夫婦関係がどうか、そのことを中心とした家族関係の改善が重要になりそうです。