2020.10.12 17:00
コラム・週刊Blessed Life 137
国連は大丈夫か?
新海 一朗(コラムニスト)
国際連合(国連)は、1945年10月24日の創設から75年目を迎え、その設立目的に沿った任務の遂行に多くの支障を来しています。
最近の出来事で言えば、WHO(世界保健機関)の仕事に不信感を抱いたアメリカが、WHOを脱退したという出来事が起きています。
アメリカが脱退するというのは、他の国々にすればショッキングなことであり、少なからず影響を被ります。
WHOへの分担金を払わないということもそうですが、それ以上に、国連がその役割を果たしていないというイメージのほうが決定的に大きいでしょう。
なぜ国連は機能まひを起こしているのか。これには、当初から危ぶまれていた構造上の問題があります。
第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て、人類はこのような大量殺戮(さつりく)戦の惨禍を二度と繰り返さないようにと、国際の平和と安全のために国連を設立しました。
第二次世界大戦の戦勝国である米国、英国、フランスの連合国(United Nations)という名称を、そのまま国際連合(United Nations)の名称とした米英仏の民主主義3カ国のリーダーシップが明確かつ強固であれば、国連の混乱は避けられたことでしょう。
しかしここに、異質の2カ国が入り込み、米英仏にソ連と中国が加わるかたちで、常任理事国5カ国の体制が出来上がってしまいました。常任理事国は拒否権を持つ重要な中心的な国家です。
そのことがその後の国連運営の障害となったのです。
最初、中国は台湾(蒋介石)の中華民国であったのが、途中で台湾と中華人民共和国が入れ替わることになり、台湾は国連を脱退し、中華人民共和国(Red China)が国連常任理事国5カ国の座に就きます。1971年10月以降のことです。
ここから、国連を舞台とする中国のプロパガンダ工作(共産主義はプロパガンダと革命が一体となっている)が世界規模で展開される事態が生じるのです。
毛沢東の「農村から都市へ」という革命戦略が世界的に展開されることになり、世界の農村、すなわちアフリカ、中南米が中国のターゲットにされ、革命の輸出を積極的に行ってきたというのが、1971年、国連常任理事国におさまった中国の今日までの悪業なのです。
中国のやり方は、現地の大統領や首相、閣僚などを巻き込み(賄賂を渡し)、インフラ輸出、企業輸出、武器輸出などの輸出攻勢で、その国を思いやっているように振る舞いますが、現地にお金を落とさず、全部、現地での利益は中国が持ち去るというあくどいやり方です。現地の人々は、中国が入ってきたことを嘆き、中国にだまされたと後悔しています。
WHOのテドロス事務局長はエチオピアの人ですが、このエチオピアは中国に完全にやられている国であり、中国とエチオピアの関係は非常に深いものがあります。
テドロス事務局長は、ティグレ人民解放戦線という政党に属し、またエチオピア人民革命民主戦線を支援するという正真正銘の共産主義者であり、中国との相性は抜群です。コロナ隠しで中国と一体化し、習近平の犯罪性を隠蔽した明らかなる共犯者です。
一事が万事、国連は中国の革命工作の草刈り場のようになっています。アフリカ、中南米の国連代表は、中国から見ると格好の餌食であると思われます。
WHO、WTO(世界貿易機関)、LGBT(性的少数者の総称の一つ)など、中国の国連工作はわがもの顔であり、国連刷新は不可避なのです。