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氏族伝道の心理学 18
神様の怒り

 光言社書籍シリーズで好評だった『氏族伝道の心理学』をお届けします。
 臨床心理士の大知勇治氏が、心理学の観点から氏族伝道を解き明かします。

大知 勇治・著

(光言社・刊『成約時代の牧会カウンセリング 氏族伝道の心理学』より)

第2章 心の問題と復帰歴史

神様の怒り
 では、真の父母様の実体的な路程の中から、神様の不安と怒り、そしてそれらを受け止められてこられた真の父母様について、考えていきたいと思います。

 神様の怒りは、誰よりも真の父母様に向けられていたであろうことは、先に述べました。私たちの怒りが、夫婦間や親子間で出やすいように、怒りは最も心情の近い人にぶつけられやすいからです。ところで、私たち教会員(祝福家庭)に対する神様の怒りは、どのようなものだったのでしょうか。私たちは、神様の怒りを買うようなことはなく、神様に慰めと喜びをお返しし続けてきたのでしょうか。

 出エジプト記の中に記述されている、神様のイスラエル民族に対する怒りの場面(出エジプト記三十二章九節~十四節)を79ページ(Blessed Lifeでは第16回で掲載)で紹介しました。エジプトからカナンの地に向かう四十年荒野路程の間、神様がモーセに対して、「イスラエル民族をここで滅ぼす」と言われたことが何回かあったといいます。その度に、モーセのとりなしによって、神様は怒りを収められたのです。

 ところで『原理講論』によれば、モーセ路程はメシヤのための形象的路程であり、イエス様も再臨主は実体的路程を歩まれる、とされています。とすれば、再臨主であるお父様が歩まれた、一九四五年からの荒野四十年路程の中にあっても、モーセの時と同じように、神様がお父様に対して、「わたしはこの民(統一教会員)を見てきたが、実にかたくなな教会員たちである。今は、わたしを引き止めるな。わたしの怒りは彼らに対して燃え上がっている。わたしは教会員たちを滅ぼし尽くし、あなた(お父様)を大いなる民とする」と言われたことが何度もあったのではないでしょうか。

 モーセのとりなしによってイスラエル民族が滅ぼされなかったのと同様に、真の父母様が条件を立てて、神様をとりなしてくださり、その結果、神様が真の父母様ゆえに怒りを収めてくださったので、私たちが今日地上で生きていられるのだと、私は考えます。もし、真の父母様が神様の怒りを収めることができなかったら、どうなっていたのでしょうか。もしかしたら、共産主義が拡大し、私たち統一教会員は、皆殺しにされていたという事態になっていたかもしれません。

 モーセに従ったイスラエル民族は、旧約聖書の記述を見る限り、不信仰を繰り返し、モーセの重荷になっていたように感じられます。しかし、彼らはモーセに従って、豊かなエジプトを捨て、モーセと共に荒野の中を流浪し続けたのです。

 では、私たち統一教会員は、当時のイスラエル民族ほど苦労し、当時のイスラエル民族がモーセと一体となって荒野を歩んで行ったほどに、真の父母様と一体となって天宙復帰の苦労の道を歩んできているでしょうか。もちろん、真の父母様と共に、本当に苦労して歩んでいらっしゃる教会員の方々も少なくないことを知っています。しかし、少なくとも私自身は、当時のイスラエル民族がモーセに従って行ったほどの信仰をもって、いま真の父母様に侍っている、と言える自信はありませんし、当時のイスラエル民族がモーセと苦労を共にしていたほど、真の父母様の苦労を共有させていただいているとも思えません。

 ユダヤ民族は、ヒトラーによって、六百万人が虐殺されました。再臨の時を迎え、イエス様を殺害したユダヤ民族の蕩減ゆえに、サタンがユダヤ民族を打つことを要求し、神様が許諾されざるを得なかった、ということです。神様の許諾があったからこそ、サタンは、あのような大量虐殺が可能であったというのです。

 同様に、真の父母様が、私たち教会員の足らなさゆえの神様の怒りを解くことができなかったなら、サタンの讒訴(ざんそ)に対して、サタンが私たちを打つことを許諾せざるを得なかったでしょうし、その結果、私たち教会員は、共産勢力の拡大の中で、ほとんどが殺されていたのではないでしょうか。

 以前、共産主義との戦いのまっただ中にあった頃、お父様はCAUSA(アメリカ社会統一協会連合)による勝共運動を南米で展開されながら、「もし、世界が共産化されたら、教会員はみな南米に行き、南米から再出発する」と語られました。この時、もしかしたらお父様は、神様が、サタンの讒訴に対して許諾を与えられ、世界が共産化されるかもしれない、と本当に思っていらっしゃったのかもしれません。その時のために、南米での摂理を進められていたのでしょうか……。もちろん、神様ご自身が、世界が共産化されることを望んでいらっしゃったとは思えません。しかし、神様も心情のお方であられるので、私たち教会員が、神様と真の父母様の愛に応えられず、堕落性の中で自己中心的に生きていく姿を見て、神様がどれほど失望し憤りを覚えられたかを考えると、サタンが私たちを打つことを許諾される可能性があったことは、想像に難くありません。

 しかし、歴史の結果は、神様の教会員に対する憤りと怒りを真の父母様が解いてくださったがゆえに、共産主義は衰退し、私たち教会員は生きて地上生活を続けることができているのだと思います。そう考えると、真の父母様は、私たちに霊的な命を下さっただけでなく、肉身の命も救ってくださった命の恩人なのです。

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 次回は「神様のサタンに対する怒りの解放」をお届けします。


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